03




戦闘は終わりを告げ、敵側は撤退。こちらのCGS側はなんとか持ち堪えたものの、負傷者があまりにも多すぎた。理不尽に始まった戦闘によりまだ幼き命が無数に散っていたという事実。それは残された者達の胸に深く突き刺さることとなった。

『お疲れ』

事態が収まったことを確認し地上へ出ると、MWの回収作業や負傷者の手当が一斉に行われていた。どこを見ても大破寸前であったり爆発して部品だけが落ちている。その集団から少し離れた場所で周囲を見渡すオルガに、一声掛けた。

「おう」
『今回は特にボロボロだね』
「いや…今回はまだマシだ。なんとかこの程度で済んだってだけだろうな」
『じゃあやっぱりミカが居なかったらもっとやばかった?』
「ああ、」

だろうな、と呟くオルガの視線は未だ三日月の乗っているMSへと向けられている。

『そういえばあのモビルスーツってバルバトスって言うらしいよ』
「バルバトス?」
『うん、ミカが言ってた』

バルバトスというその名が何故付けられたのか、それはまだ分からないままだ。

「おい、一軍の生き残りが戻ってきたみたいだぞ」

それから程なくしてMWが数台こちらに向かってきているのが見えた。何台かはギャラルホルンのMSにでもやられたのだろう。どうせ、怒っているであろう一軍に見つかる前にこの場を離れ三日月の元へ向かうことにした。

『おやっさん、三日月どう?』
「ああ、今丁度目ぇ覚ましたところだ」

阿頼耶識とのリンクは搭乗者が気を失った状態では切ることが出来ない。それも重要だが、三日月は気を失う程力を使っていたのかという点が気になった。

「何人死んだんだ?」

開口一番の質問に思わず口をつぐみそうになる。負傷者と同じくらい今回は特に多いのだ。

『参番組は四十二人、』
「一軍は六十八人だ」

その数の多さに三日月は顔を伏せた。自分がこのMSで出ていながらそんなにも犠牲が出ていたのかと思っているのだろうか。もしそうなら、むしろこの機体を操縦し出撃してくれたおかげでその人数に抑えられたのだと心の底から伝えたい。

「おめえとコイツは、良くやったよ」
『ミカ、これに乗って出てくれてありがとう。お疲れ様』
「ああ、そうだな。お疲れさん」

阿頼耶識を外し終えた三日月には今日はよく休むよう伝えた。今は大丈夫でも体にどのような支障をきたすか分からない。万が一の事態を考え、休めるようなら休んでおくべきだ。

「ねえ、シアンはまだ戻らないの?」
『うん、私はまだ戻れないや。作業終わってないし、それに』

さすがにこれを運ぶのはすぐに終わらなさそうだ。もしまた出すことがあれば、回収作業は毎回こうなるのかもしれないと考えると胃が痛い。

「シアン!お前ここはいいから向こう手伝ってこい!」
『え、でもこれさすがにおやっさん一人じゃ無理でしょ!』
「こんなのは後回しだ!それより向こうの人間見てやれ!手当が先だろ!」

ふと、運ばれていったたくさんの仲間達の姿が頭をよぎった。確かに手当をするには人手が足りなそうだ。

『じゃあ行ってきます!』

見送った三日月の背中を追うように、力いっぱい乾いた地面を蹴りあげ基地へと向かった。