05
ふらふら近場を探し歩いていると、数台のMWに囲まれるオルガ達の姿が視界に入った。各々、神妙な面持ちで話をしている。何か緊急事態でも起きたのか、毎度お馴染み一軍絡みの面倒事だろうか。こちらに気付いたシノに手を振りつつ駆け寄った。
『みんな集まって何話してるの?』
「丁度良いお前も聞いてくれ」
『え?うん』
先程の戦闘時に、自分達だけ逃げようとしていた一軍のMWに細工を仕掛けたらしい。だがその事で、戻ってきた一軍から呼び出しをくらいオルガは何度も殴られたのだという。その場に居合わせていたらしいユージンやシノ達は、話に耳を傾けながらも悔しそうに顔を歪めている。
「そこで、だ」
『何かするの?』
「ここを乗っ取る」
今回の事態にそろそろ潮時だと感じたオルガは遂に動くべきだと判断したらしい。だが今CGSを乗っ取るにしては参番組の仲間もだいぶ減ってしまった。そんな状態で上手くいくとも考えにくい。
『さっきの戦闘で参番組は大勢いなくなってしまったのにそれでもやるの?』
「ああ。マルバの奴もクズだったが一軍のヤツらは俺らを撒き餌くらいにしか思ってねえ。それに今のここの状態じゃいずれ俺達は全滅する」
『確かに...』
「かと言ってここを出て他に仕事なんてないし...」
つまり自分達に選択肢は無いのだ。こうしている間も、貧しさに苦しむ子どもが増え続ける火星では他に雇ってくれる場所などない。少し離れた場所から話を聞いていた昭弘は、自分がヒューマンデブリである以上、上が誰であれ従うだけだと去っていった。
「じゃ、そうと決まれば作戦会議だな」
「三日月は呼ばなくていいの?」
「おお...忘れてた」
『そういえばミカ今どこにいるの?』
三日月を探してここに来たことを、オルガじゃないが忘れていた。資材を運ばせるだけ運ばせておいて、未だ姿が見えないことに怒っているだろうか。
「ごめんそういえば見てないや。でもどうせ呼びに行くし一緒に探す?」
『うん!行く』
「じゃあオルガ、俺は三日月を探してくるよ」
「いや、ミカの所には俺が行く。ビスケットには他に頼みてえ事があるんだ。っとその前に、皆には悪いがミカが反対なら今回はナシだ。まあ無いだろうけどな」
また後で作戦会議の為集合するということになり一時解散。結局、三日月の元へはビスケットではなくオルガと二人で向かうこととなった。特に探す素振りはなく、オルガに連れられバルバトスの元へ行くと側には三日月が立っていた。
「おうミカ」
「色男になってんね」
「まあな」
「そういえばさっきの荷物タカキ達に渡しといたよ」
『ああごめん...本当ありがとうミカ』
一人で。バルバトスの周りに散らばったコードをまとめていたようだ。手伝いを申し出たが必要ないと断られてしまった。
「死んじまった仲間に最期の別れをしなくて良いのか」
「あー、いいよ」
『どうして?』
単に不思議に思い聞き返す。三日月は昔オルガから、死んだ奴には死んだ後にいつでも会える、今生きている者が死なないよう精一杯出来ることをやれと言われたのだという。そう話す三日月は誇らしそうに笑った。
『そうなんだ、いい言葉だね』
その三日月の表情がとても夕焼け空と合っていて、優しい気持ちで満たされるのを感じた。