03




『ミカなら大丈夫だよね』
「ああ」

オルガの隣で三日月の戦いを見ていた。今のところは互角と言ってもいいだろう。こちらとしては乗っている本人にいつガタが来るかも分からない為不安で仕方ない。

『ねえオルガ』
「なんだ?」

どちらとも顔を合わせることはなく、お互い戦いの行く末を眺めたまま会話を続けている。

『どうやったら決着ってつくのかなこれ』
「そうだな、俺はミカにやっちまえって言ったんだ」
『つまり』
「そのままの意味で捉えてくれていい」

殺してしまうのか。オルガの言葉を聞いたら最後、三日月は決して止まらない。自分に課せられたその命令を成し遂げるまで進み続ける。そしてこういった命令は今回だけで終わらないだろう。そんなことを続けていたらいつか、

『どうなっちゃうんだろ...』
「三日月は強いのですね」
『クーデリアさん、』

オルガの少し後ろに立つクーデリアは、最後に見た時とは違い、瞳に強い光を宿していた。それは彼女の意志の強さであり、本来の輝きなのだろう。

「私も三日月のように強くなれるでしょうか」
「アンタ...」
「もう手術を受けたいなどとは考えていません。私の戦うべき場所は別にあることを知っています」

もう彼女を甘っちょろいお嬢様などと思えなくなってしまうな、とその自信に満ち溢れた姿を目にして感じた。

『うわっ、』

目の前では未だ激闘が繰り広げられている。飛んできた装備にオルガは身じろぎもせず、その視線はバルバトスから逸らされることはない。

「テッカダン」
『え?』
「なんですか?」
「俺達の新しい名前だ」

"テッカダン"
全く馴染みのない言葉だ。意味も分からなければ、それが漢字なのか平仮名なのか、それとも英字なのかも分からない。クーデリアと二人、頭上にはハテナが浮いていることだろう。

「テッカ...鉄の火、ですか?」
「いや、鉄の華だ」
『鉄の華?』
「決して散らない、鉄の華」

新しい名前、鉄の華と書いて鉄華団。同時に新しい居場所でもある。

「あ...決着が着いたのですか...?」

そうこうしているうちに決闘は終盤を迎えていた。開かれたバルバトスのコックピットからは三日月が外へ出ている。どちらの勝利かは明白だった。三日月はオルガの命令には背かない。静かな大地に、決着を告げる銃声だけが響いた。