盗撮騒ぎの真相
――――12月上旬
神宿学園で注意喚起があった。夜になると高等部付近でシャッター音が聞こえるらしく、学生らを盗撮している不審者がいる可能性があるので注意するようにとのこと。
コラボ企業先からもらった大量のお菓子をおすそ分けしにセーフハウスに寄った真神は、東京の校内も危険が多いなと思いながらリョウタに箱を渡して帰る。数日後、犯人が意外な形で捕まった。
なんと犯人は真神だったのである。
真神は保健医であるシンノウ先生に捕まり、事情聴取を受けることになる。真相はこうだ。最近、ガチャガチャでライトがつくカメラ型のキーホルダーを見つけた。冬も差し掛かり日が暮れるのが早く、駐輪場は暗くなると手元が見えなくなるため、これは良いと買ったのだ。そのカメラはシャッターボタンを押すとライトがつくのだが、カメラ型なだけあって一瞬フラッシュするだけ。新しいイイ感じのライトが見つかるまでそれを使用していたが、手元を見るにはシャッターを連打しなければならず、駐輪場で鍵を締めようとかがんでいたところをシンノウ先生に見つかってしまった。
駐輪場だけではなく、夜に高等部の寮や廊下でも音がしていたと報告があったらしい。それも自分が落としたものを探すのに連写していたため――真犯人で間違いなかった。駐輪場の隣にある職員の仮眠所とされている建物の中で、それをシンノウ先生に自白する。
シンノウ先生は以前から真神のことを「問題児くん」と呼んでいる。その理由は、ギルドメンバーのケンゴが赤点を取り、校内での補講を避けるために脱走し、副担任のトリトン先生とジン先生に追いかけまわされている様子を見たことにある。これをギルドマスターの監督不行き届きが主な原因だと考えているらしく、真神は不服に感じていた。
しかし続けて保健医のシンノウ先生は真神の脈を計りながらこう言った。
「そういえば、君は仏教が好きだと聞いたから少し調べてみたんだが、君の宗派は食事や睡眠をしっかり取り、体調管理をすることが修行内容だと書いてあった。それなのにしょっちゅう敷地内で貧血や低血糖症で倒れていたし、この前なんかはケンゴに背負われて帰ってきたじゃないか」
本当のことなので真神はグゥの音も出なかった。低血圧で体力がないのにアンプやギターなど大きく重い荷物を抱えて出歩いている日もあるため、たまにはそういう日もあると言い訳したくもなる。しかし今回の件を考えると、気づいていないだけで他にも迷惑をかけているかもしれない。思い直して、素直に謝罪した。問題児くんと呼ばれる由縁になるには相当な内容だったので、今後はもうそう呼ばれても嫌がらないでおこうと決める。
という話はいったん置いておいて、真神は今現在、腕が痺れてきている。シンノウ先生は毒物及び化学物質の専門家。好奇心が旺盛なので、何でもすぐに口に入れて毒見をしてしまう悪癖がある。先生の皮膚表面には毒素が分泌されており、触れた人に有害な影響を与えることがある。それは特殊な臓器の「神器」によるもの。もちろん、毒も使い方次第では薬になるので一概に悪いものとは言えない。しかし、本人が意識していないときは調整されていないため、ほぼ毒として作用してしまう。
真神はここまでいくともはやチートであるが毒耐性があった。これは魔法学校で毒耐性の素質があると診断されたことがあり、魂のお釣りで格安で耐性力を上げていたから。
シンノウ先生にとって皮膚接触をして相手を傷つけないで済む者は希少なので、真神を見かけると用もないのに脈を計りに近寄ってきて体をベタベタ触るなどする。
しかし、その時の真神は風邪の病み上がりで健康状態があまりよくなかった。そして真神は気を失った。
これについてはシンノウ先生が「問題児くん」なので、目が覚めたら抗議しようと思ったのであった。
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