え?異世界シャングリラ?
――― 11月上旬
校外学習としてスキーをすることになった真神。異世界の放サモ世界では、大人の真神は高校生として登録されているが、出席は免除されている。その代わりに年に数回、校外学習に参加することが義務づけられている。
スキー場に到着すると、真神はポケットマネーを使って部屋のランクを上げた。同時に、ラウンジの隣にある音楽ブースも貸し切る。大きなテレビでゲームをしたいと思いランクを上げた部屋だったが、テレビは故障していた。
コンシェルジュサービス付きの部屋だったのでコンシェルジュに相談すると、壁埋め込み式のテレビで交換は不可能だと説明された。しかし、コンシェルジュは真神が音楽ブースを貸し切っていることを思い出し、そこの暖炉の上に特別にテレビを設置し、ソファも用意すると提案した。音楽ブースには小さなステージやグランドピアノ、ドラムやギターがあり、真神はゲームだけでなく楽器も1か所で楽しめると考え、提案を受け入れた。
ヘッドホンをつけてゲームに没頭していると、後ろのラウンジが騒がしいことに気づいた。しかし、真神はそれに関係なくそのままゲームを続ける。4時間後、後ろが静かになったので様子を見に行くと、人影はまばらになっていた。
「みんなどこ行ったんだろう」
特に気にすることもなく、ピアノを弾いたりして楽しんだ後、部屋へ戻り就寝した。
翌日、学級委員長でギルドマスター代理のシロウから話を聞くと、スキー場が異界化して異世界シャングリラになり、閉じ込められていたことがわかった。
「いつのまに……?」
真神はゲームをしていたため、そのことに全く気づかなかった。シロウは少し呆れた様子で「何やってたんですか」と言ったが、真神は悪びれる様子もない。
他の生徒たちから話を聞くと、浅草得真道学園の生徒である象の獣人ギリメカラが関与しているらしいということがわかった。得真道学園はヤンキー校として知られており、ギリメカラは体も大きい。真神はラウンジで見かけたが、怖くて声をかけることができなかった。
幸い、今回の異界化では誰も怪我をしておらず、大きな被害もなかった。権能を使用せずに異界化が解けたのこれが最初で最後の珍しいケースだったが、それ以上の情報は得られなかったため、捜査は打ち切りとなった。
「まあいいか、何もなかったんだから大したことなかったんだろう」
真神はあっさりとそう結論づけた。
結局、スキーは1度も滑らずに帰路についた真神だったが、音楽ブースでの思い出だけは心に残った校外学習となった。
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