デュエリストと真神の契約賭博


――― 翌年、2月下旬

 フッキという人物と契約をしたいが、フッキに避けられている。避けられている理由は真神がトロフィーで、プレイヤーであるフッキは接触するのがルール違反だからだと推測する。証拠となりうる事象として、ティルナノグ世界代行者であるバロールと東京では接触不可能で、異世界ティルナノグでは会ったことはあるがその記憶は封印されていた。

 ハクメンちゃんは東京カジノのオーナーで、フッキはお得意さんである。かねてから真神と契約したいとハクメンちゃんに迫られ断っていたが、今回フッキに伝言をするのを条件に契約した。
 その伝言の内容をのむかは不問とする。

私とルーレットで1発勝負の賭けをしよう。
私が勝ったらフッキは契約する。
フッキが勝ったら従者のオニワカを渡す。



 フッキはデュエリストで、お金には興味がなく、その人にとって最も大切なものを賭けた戦いを好む。この条件なら会ってくれると思っての作戦である。

 結果、フッキは会ってくれた。

 フッキは上機嫌でやってきて、「我が妹!」と真神にプレゼントの箱を差し出した。中には高級な茶葉と茶器が入っている。「終わったらお兄ちゃんと食事に行きましょう。良い店を予約してあります」と、まるで久しぶりに会う妹を喜ぶ兄のようだった。

 フッキは八卦という神器で相手の運勢を占えるので負けなしであった。フッキは魂のない空っぽの体の真神に、今は亡き妹の魂を重ねて見ているため「我が妹」と大切に想っている。

 しかし、真神は放サモ世界には1度も持ち込んだことのない自分の魂のレプリカを所持しており、魂を呑み込んでから賭けをした。フッキは妹の運勢は占えるが、いまだかつて見たことがない得体が知れない魂は占えないと真神は推測していた。フッキは高笑いをした。

「そういうことでしたか、面白い。受けて立ちましょう」


 真神が勝った。


 フッキは事前に占って勝ち確だと思って来たが、占いが無効になり勝率は半々になった。しかし真神はこれまでの人生でターニングポイントになるであろう場面で豪運を発揮していたのでこれを上乗せして雑計算、勝率75%だと見ていた。

 負けた時の算段もあった。

 フッキの溺愛ぶりを見れば明らかだ。東京がゲームの盤上で真神がトロフィーなら、躁うつ病の真神から大切なオニワカを奪えばゲームは停滞する。世界代行者がプレイヤーだとすれば、フッキが他のプレイヤーを差し置いて真神を潰すのは得策ではないはず。つまり、オニワカを本気で奪うつもりはなかっただろう。

 仮に別の要求をされても、「我が妹」の立場を使えば何とかなる。これまでもこの方法で乗り切ってきた。

 実際にはしないで済んだのでホッとした。


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