私がバスケ部に差し入れを作るようになってから、暫く経ち、私の差し入れはバスケ部の中に組み込まれていた。


私は相変わらずバスケ部のメンバーとは関わってないけどね。


休みの時は学校に作りに行って、差し入れを桃井さんに渡すのが恒例となり、桃井さんともずいぶん仲良くなった。


『…あのー、桃井さんいますか?』


「あぁ、江藤か。桃井!」


「はーい!いつもありがとう〜!」


『いえいえ!』


そういってフルーツゼリーを渡す。


こんなやり取りも恒例だ。


ちなみに、私が差し入れを作っていることをみんなが知っているかどうかは知らない。


『それじゃあ、失礼します』 


「じゃあね!」


『うん!』






そんなやり取りが続いた、中学も終わり頃…いつ頃みんなが仲違いし始めるのかは知らないけど、私はいつも通り差し入れをつくっていた。


その時。


からら…


『…?』


「…やっぱり、あなただったんですね」


『…え…?』


家庭科室の扉を開けたのは、黒子くんだった…


私はゼリーとグミを冷蔵庫に突っ込み、黒子くんにお茶を出す。


『…良くわかりましたね?私だって』


「…いつも、あなたが体育館まできているのに気付いていましたから」


『そうなんだ…』


…なんだか、元気がない


『…よし!ちょっと待ってて!』


「…?」


私は生チョコを作り始めた


「それは何ですか?」


『生チョコを作ってるの。…黒子くん、元気ないから。甘いもの食べたら、少しでも元気になるかなって』


「ッ!!」


黒子くんはなにも言わず、私が生チョコを作るのを隣で見ていた


『…さ、できた』


「…美味しいそうですね」


『美味しいと思うよ。悩みなんて飛んでくくらい』


そう言って笑うと、黒子くんは目を見開いてから、緩やかに笑った


「…そうですね」


『さ、どうぞ』


「はい、頂きます」


黒子くんが一口食べる


「…うん、美味しいです」


『ふふ、良かった。飛んでくでしょ?悩みも』


「…はい。ありがとうございます、江藤さん」


『!!…知ってたんだ、私の名前』 


「ええ。桃井さんから聞きました」


『桃井さんから…』


なるほど。


その後、ポツポツと黒子くんは話してくれた。


メンバーが、強さばかりを求めていること、友達と喧嘩したことを。


『…そっか。仲直りできるといいね』


「…はい。そうですね」


黒子くんは視線を地面から上に上げた