柳先輩を探しにコートにきたのは良いものの、だめだ、私のお粗末な記憶力では思い出せない…


「…どうした?」


『ひゃっ!?』


誰かに声をかけられる。


え!?誰!?


なんて思いながら振り向く。


…ん?この特徴的な糸目の人は…


「…江藤が俺の名前を覚えていない確率、100%」


『うわぁっ!!ごめんなさいっ!』


私は泣きそうになりながら謝る。


「大丈夫だ、気にするな。怒ってなどいない。」


私はそっとその人を見上げる。


「俺の名前は柳連二。お前が探していたのは俺じゃないのか?」


『あっ!!』


そうだ、糸目のデータマン、柳先輩!


『すみません!私、「記憶力が悪くて、とお前は言う。」…流石データマン。』


「それで、ドリンクの好みの味だろう?それだったらこのノートに書いてある。」


『ありがとうございます!』


「それと、このコートの近くには、ファン達が一杯いる、絶対に1人ではコートから出るな。何か言われたら、俺か精市に言え」


『精市…幸村先輩ですね?』


「あぁ。俺達は、部員ともどもお前を守ることで満場一致している。何かあったら遠慮なく言え。わかったな?」


『はい!ありがとうございます…!』


みんなの気持ちが嬉しかった。


私は、このテニス部のために頑張ろう。と決意した。





糸目のデータマン

(優しい柳先輩。ありがとうございます…)