私はドリンクをつくりながら部室の窓からみんなの練習を見る。


それで、初心者ながら気付いたことをノートに纏めて、ドリンクの味も、ちょっと自分でアレンジしてみた。


みんなはなんて言うかな、なんて思いながら、今日のために買った肌に優しい肌触りの洗剤でタオルを洗った。


それらのことが全て終わると、それらを持ってコートへ向かった。


『よいしょ、よいしょ…。…あぁ、重い…』


すると、女の子の声が聞こえた。


「なんであんな子がマネジに…」


「切原くんに泣きついたに決まってるわ!」


「あぁ!あんな女の幼なじみで可哀想な切原くん…!」


『…』


私は、その言葉に唇をかみ、ドリンクとタオルを運ぶことに専念する。


すると、精神的なものからか、めまいがして、倒れそうになったとき、


「大丈夫?江藤さん」


『!!…ゆきむら、せんぱい…』












幸村Side


そろそろ休憩に入ろうかと思い、部室を見ると、江藤さんがはこんでくる最中だった。


「あぁ、だめじゃないかあんなに一度に」


俺は江藤さんが心配で迎えに行くことにした。


「真田、後は頼む」


「む、わかった。」


江藤さんの所に向かう途中、ファンの子たちが江藤さんの悪口を言っているのが聞こえた。


これは早く江藤さんの所に向かった方が良さそうだ。


すると、江藤さんがふらついた。


俺は急いで江藤さんを支える。


めまいを起こしながらも、タオルとドリンクの入った袋ははなさないとか、江藤さんは頑張ってくれようとしてるみたいだ。


「江藤さん、大丈夫?」


『…ゆきむら、せんぱい…』


「頑張ってくれるのは嬉しいけど、あまり無理はしないようにね、」


『はい、…でも、私皆さんの足手まといになりたくありません…』


そう言って涙をこらえた江藤さんを見て、赤也を呼ぶ。


「赤也!」


「はいっス!なんすか?ぶちょ…ってみのり!?」


「こういう状態だから、赤也はこのドリンクとタオルと…ノート?」


俺は不思議になって、江藤さんには悪いが中を見させてはもらった。


すると、テニス初心者の江藤さんなりに必死にドリンクを作りながら書いたのだろう、荒い字で俺達のプレイの良点、欠点が書いてあった。


「ほう、これは興味深いな…」


「…蓮二…」


蓮二にノートを渡すと、蓮二は言う。


「…初心者にしては的確な判断だ。江藤はドリンクやタオルをつくりながらこんなことまでしていてくれたのか…」


いつの間にかレギュラー陣が周りに勢揃いしていた。


他の部員達も来たかったんだろうが、真田に追い返されていた。


いつの間にか意識を失っていた江藤さん。


「…赤也」


「…なんすか、幸村部長」


「俺たちは今まで、ここまでしてくれるマネージャーとは出会えなかった。」


「…」


「俺達テニス部の勝利のためにも、江藤さんを手放したくはない」


「っ!でもそれじゃあみのりがっ!」 


赤也は江藤さんの状態から察したのだろう、江藤さんをぎゅっと抱きしめている。


「あぁ、だから、俺たちで守るんだ」


「え…?」


「赤也も、彼女を守りたくて今までここに連れてきていたんだろう?一人の時に、いじめられないようにと、呼び出されても、すぐに気付けるようにと。」


「…ッス」


「それは、今は俺達も同じ気持ちなんだよ」


「コイツ、ちゃんとレギュラーだけじゃなく平部員のぶんのタオルやドリンク、データまで書いてあるもんなぁ」


ブン太がガムを膨らませながら言う。


「こんなに俺達テニス部のことを真面目に思ってくれてる奴始めてみたぜ…」


ジャッカル…


「そうじゃのう、」


「手放すには惜しすぎる人材ですね」


仁王や柳生も。


「…赤也、これからは赤也一人じゃなくてみんなで江藤さんを守っていこう。彼女のためにも、俺達のためにも。」


「…っ!はいッス!」







守る決意

(部員が団結、みんなで彼女を守る!)