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気分までも暗くさせるような薄暗い雲が空を覆う某日。
カモシダパレスから無事オタカラを盗み出した怪盗団は彼の改心を待っているのであった。
始めてだらけの試みと刻一刻と迫る退学処分の日一同は不安を隠せず、そわそわとしている。

「しっかし…光藤が今までの証拠突き出して鴨志田に直訴してなかったらヤバかったかもな俺ら。」

「そうね…いざと言う時には証人にもなるって言ってたし…助けられてばっかりだね」

思いがけない援軍は暁のクラスメイト、光藤成海。
しかし今日は体調不良とのことで休みであった。

「でも何で急にそんなこと言い出したんだろ?
言い方悪いけど光藤さんってあんまり人と関わりたくなさそうな雰囲気だし。」

「あー、確かにな。俺、あいつが誰かと喋るのあんまり見たことねぇし。」

2人の疑問に暁は顎に手を添えて考え込む。
暁も彼女と話したのは転校初日と鴨志田について聞き込みをした時くらいだ。
何かしら心境の変化があったか或いは暁達の行動に思うところがあったのかもしれない。
と、ここで川上が職員室から教室へと引き返してきた。

「悪いんだけど誰か光藤さんに試験期間中の日程プリント届けてくれない?」

ちらほらと残っていたクラスメイト達は互いに顔を見合わせる。
まるで汚れ仕事の押し付け合いのようなざわめきに杏は溜息をつき、挙手をした。

「私が行きます。」


新宿 住宅街

繁華街から少し離れればそこは閑静な住宅街。
その一角にある家に彼等は少しの緊張と共に訪れた。
屋敷とまではいかないがそこそこの規模のものに全員呆気に取られる。

「あいつ意外といい家住んでんのな。」

「と、取り敢えずチャイム押してみよ?」

光藤と書かれた表札の下のチャイムをそっと押す。
数秒ほど経ち雑音と共に女性の声が訝しげに外に出てきた。
容姿からして光藤成海の母親と推測できる。

「私達は成海ちゃんのクラスメイトで…えっと、試験期間中の日程のプリントを届けに来ました!」

「はぁ、わざわざどうも。ポストに入れておいてくれます?」

面倒くさい、早く帰ってほしい。
そんな本音が伝わってくるような対応にムッとしながらも再び話しかける。

「彼女の容態はどうですか?」

体調不良で学校を休んだクラスメイトを心配する、在り来りな言葉。
それに対し母親と思われる女性はまた面倒そうにこう返した。

「さあ?本人じゃないので知りません。
全く…勉強もそこそこ、運動もそこそこで取り柄が無いんだからせめて皆勤賞は貰えと言っていたのに…だらしない。
そういえば貴方達って学校では有名なんでしょう?悪い意味で。
あんまりうちの子に関わらないでもらえます?」

普通なら他人に聞かせるようなものではない言葉に全員言葉を失くす。
その間に女性は彼等にお構いなしに家の中へと戻ってしまい、詳しい事情を聞くことは出来なかった。
同時に暁の鞄からモルガナが顔を出し怒りの声を上げる。

「自分の娘の、それもクラスメイトへの態度とは思えんな。」

「なんなんだよあのオバサン!すっげーめんどくさそうな顔しやがって…!」

「取り敢えずプリントはポストに入れておこう。
それと…何かあった時に連絡がとれるようにアドレスも。」

IDを書いたページを千切りプリントが入っているクリアファイルに入れておく。
暁に習い2人も真似をしてポストに投函した。
これ以上ここにいては怪しまれて通報される可能性があるためすぐにその場を立ち去る3人と1匹。
その様子を彼女は2階の窓から眺めていた。


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