胸の上だけでなく、胸の下にまでベルトがついていて、きっともっと胸があれば映えたんだろうな…と少し悲しい気持ちになった。悲しいが細い身体に見合った具合にベルトを締め、サンソンを探しに行く。約束をしたはいいけれど、集合場所を決めていなかったので、自ら出向くことにした。今日は彼の部屋に行ってもいいだろう。
昨日話したことを思い出しながら、歩みを進める。徐々に彼の生前の事や思い、現在に至った経緯、今の気持ち。一つ一つ噛み締めると、彼を尊敬せざるを得ない。
サンソン、サンソン……
「シャルル=アンリ・サンソン……」
「お呼びですか、マスター」
職員が忙しそうに行き交う中、決して華美な服とは言えないはずなのに、その顔と頭ひとつ抜けた長身を持つ彼に釘付けになった。サーヴァントというのは皆こうなのか………
「サンソンはかっこいいね、サーヴァントってみんなそうなのかな」
「…ありがとうございます。マスターもお美しいです」
「いやいやいや………」
相変わらず表情に大きな変化はないが、相変わらず丁寧で紳士的だ。一緒にいて心地良い。そんな彼と今日は昨日とは違う話をしようと思っている。
「えーと…じゃあ今日はサンソンの部屋に行こうか、そっちのが近いし」
「…マスター、迂闊に異性の部屋に入るのは如何かと思いますが」
「え、…あ〜ごめん、全然気にしてなかった……」
「信頼していただけるのは有り難いですが、お気をつけください。皆が皆僕のような者だけではありません」
「う〜ん…わかった……ええと、じゃあ、私の部屋で。いい、かな?」
「はい、向かいましょう」
ゆったりと私の部屋へ向かう中、先ほどのサンソンの言葉について考える。全くそんな思考がなかった。いや、サンソンが異性として魅力的でないとかそう言う意味ではなく、普通にそういう意味での危機意識というものが全くなかった。今後は彼の言う通り、もう少し気にするようにしよう。