多くは五木さん、聞こえますかと声を張り上げたり、医療部へ連絡を取ったりする声で、マスターに何かがあったことがわかる。
あんなに頼りなくて、壊れそうで、弱々しいドクターに何かあったのか、と心臓が騒ぐ。何かできることは、と考えて強くドアを叩く。
「シャルル=アンリ・サンソンです!開けてください。医療部より僕のほうが早いです」
自分は医者として医療部にいることも少なくない。マスターといない時は戦闘員としてよりも医療メンバーとしてカルデアで過ごしている。恐らく魔力回路に関わることでなければ、なんとかできる。
僕の声を聞き、職員が急いで扉を開ける。「召喚後に頭を抱え込んで倒れました」「とりあえず寝かせてあります」という職員の声を聴きながら、床に寝かされているマスターへ駆け寄る。
「マスター、聞こえますか。マスター!…五木!聞こえますか!」
返事はない。心拍数、脈拍を図るとかなり悪い状態であることがわかる。
「…倒れる前になにか症状を訴えてはいませんでしたか?」
「はい、突然倒れて…その前に3人連続でサーヴァント召喚を行いました」
「…恐らくただの体調不良等ではありません。持病などもないことを鑑みると、魔力系統の問題です。急いで医務室へ運びます。あそこなら魔力系を診断できる職員がいるので」
「わかりました。では私が…」
「いえ、僕が運びます」
上着を脱ぎ、マスターを包んだ後優しく抱き上げる。急いで医療室へと向かう足取りは重く、もっと早く、もっと早くと気が早る。ここに来てから1番早く走っているだろう。
青白い顔の彼女を見て、どうか無事でいてくれ、とただひたすらに願う。