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「えと、なるほど、多分、わかりました」
「……本当に大丈夫かい?」
「あっ大丈夫です!とりあえず!」

一通り説明を受けたが、あまりにも現実的でなさすぎてすぎて全く実感がない。しかし周りを見る限りそうなのだろう。この世界が崩れ消え去りそうな時に私は一人何もせずにいたなんて…本当によく生き延びたものだ。自動的に発動したとはいえ、しっかり練習しておいてよかった。
聞いた限りの事柄について自分は理解しているのだが、目の前のドクターは、笑顔を浮かべながらではあるが、腑に落ちないようだ。

「…思ったより落ち着いているね…もっと慌てたり混乱するかと思ったんだけど…」
「あ、はい…えっと、現実味がなさすぎて……すいません…」
「いや、謝らなくていいよ」

にこり、と安心感を抱かせる柔らかな笑顔を見せる。自分の人生で見ることのなかった態度を取られ、動揺してしまう。こう言う時はどう対応すれば良いか、なんて実家で学んだ覚えはない。
心地悪そうに目を逸らすことしかできなかった私に対して、ドクターは気を悪くする様子もなく話しかけてきた。

「そうだ、君の名前をまだ聞いていなかったね。聞いてもいいかい?」
「はい、五木です」
「五木さんだね。ええと…そこの君、マスター候補生の名簿はあるかな?」
「多分…ですが管制室の中にはないようです。多分保管所などに向かって探してみるしかないかと」
「そうか……うーん、まだ無闇に外に向かうにはまだ危ないな」
「…あの、最初に挨拶をした場所ですよね?場所もわかりますし、防御魔術で は得意ですし身を守るくらいはできるので大丈夫です。私が行ってきます」
「大丈夫なわけないだろう!君は大人しくしててくれ!」
「大丈夫です。ほら」

魔術を発動させ、自分はきちんと向かえると主張しようとする。足手纏いになってはいけない。のだが、どう魔力を使い切っていたようで、身体の力が抜け、視界がブラックアウトした。

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