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「…落ち込んでいるところ悪いんだが、ここにきたのは君に頼みたいことがあってきたんだ」
「頼みたいこと?」
「ああ、立香くんは少し席を外してもらえるかな?」
「わかった」
隣にいた男の子が立ち上がり廊下へ出て行くのを眺めながら、あの子立香くんって言うのか、なんて呑気に考えていると、ダヴィンチさんがベッドへ腰掛ける。
「今とても混乱しているし明日からどうしたら良いかもわからない状態だと思うんだけど、提案がある。今世界は異変が起きこのまま崩壊する危機的状況にある。これから立香くんは様々な場所へ向かいその崩壊を止めるため特異点を修正する。そして世界を救う」
「世界を…」
「そうだ。いきなり大それた話だが事実だ。そこでだ。君にも手伝ってほしい!マスターとなりサーヴァントを使役し、世界を救ってほしいんだ」
いや、本当に大それた話だ。漫画やアニメでもあるまいし、嘘じゃないかと疑ってしまうが、まあこんな状況で嘘をついたって得はないよなあ。…世界の危機か……うだうだ言っていられる状況ではないだろう。それに、元々私は世界の為にここに送られてきたんだ。
「…それは、私にも出来るんですか…?」
「出来るさ!何せ君は優秀だ。データベースを見たところ出生も成績も優秀、これからトップチームにも入れたはずだ」
「そんなことないですよ…でも、皆さんの役に立てるなら、世界の為になるなら、是非やらせてください」
「そうこなくっちゃ!じゃあまず使役するサーヴァントを召喚しよう。そんなに魔力は必要ないから、今から行こうか!多分だいぶ回復はしていると思うよ、私からも軽く魔力供給しているしね」
「えっ」
やたらスキンシップしてくるし途中からずっと手を繋いだままだったりしたのはその為だったのか…気づかなかった…
「君にはもう少し危機感が必要なようだな!」