ベッドに身を投げるも、眠れそうになく気晴らしに洗濯をしようと昨日使ったバスタオルを探す。すると、丁寧にまとめてカゴの中に入っていて、彼のことを思い出してしまった。結局洗濯にも取りかかれず昼食をゆっくり時間をかけて作り半日を過ごした。
昼を過ぎた頃、シグウィンから電話が入り、すぐに電話をとる。
「どうしたの?非常事態なら今からでもなんとか出勤しようか」
「違うの!大丈夫よ〜、その…公爵の様子がおかしくて、なにかあったのかしら?と思って連絡してしまったの」
「………おかしい?」
「そうなの!なんだか落ち込んでるって言うか、多分ほとんどの人は気づかないくらいなんだけど、シールを貼りにこっそりお部屋に入ったらすごく落ち込んでて………」
「そっか………うーん……私がしてあげられることはないけど、明日、話してみるね」
「…そうね、それが一番良さそうだわ!また明日ね!」
「うん、ありがとう」
今日は彼のことどころか職場ことは一切考えるつもりはなかったのに、彼の様子がおかしいだなんて聞いてしまい、頭の中がまた彼でいっぱいになってしまった。
私は彼のことを愛せない。
けれど、彼を大切に思っていることを自覚した。
彼は「私を軽んじた」と言ったが、彼は私を誰よりも重んじている。怪我を見る前に職務に戻ったのも、医務室に来なかったのも、私がそうしろと言ったから。彼の件で囚人に声をかけられるのも、私が彼のことを突き放さないから。
雨の中の怪我は、彼が送ってくれなければ怪我はどうかわからないが少なくとも私は雨風に打たれながらびしょ濡れの中帰っていたに違いない。彼は私のことをよく把握していて、理解していて、重んじている。
そんな彼のことを知らないふりもせず、関わることをやめず、頭の中が彼でいっぱいになる程度には、彼のことを大切に思っている。
同じように応えることはできないが、間違いなく彼を重んじている。