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「梁太郎、この曲弾いてよ!」
「おう、いいぜ! じゃあ紫苑がヴァイオリン弾けよな!」
「もちろん!」

2人が奏でる音は聴いている者を魅了する力がある。
まるで、心が通じ合っているかのような調和、心が研ぎ澄まされるような繊細な音。
それに加えて、齢10歳にしてプロに匹敵するような技術。

なにより、2人が音楽を楽しんでいる様子が、ひときわ目を引く原因かもしれない。

「#紫苑#、あの15小節目の音はずしただろ」
「あーばれちゃった? でも梁太郎もBの5小節目のトリル入りきってなかったよねー」
「お前の目はごまかせねーか…」
「お互い、まだまだたくさん練習しなきゃだねー!」
「そうだな、明日もまた南楽器で会おうな!」
「うん、それじゃあ気をつけて!」


毎日毎日、一緒に演奏することが2人にとって一番の楽しみで、日課となっていた。




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