今日は今日とて常世は



オークション掃討作戦終了後、平子さんが0番隊に戻ってきた。久しぶりに会った平子さんは見た目も中身も変わっちゃいなかった。

「お久しぶりです、平子さん」
「悠……活躍してるらしいな」

私の場合、活躍から話題になるわけじゃないと思うけれど。

「有馬さん」

そんな、私と平子さんの上司が足音をしてやってくる。彼もまた平子さんと久しぶりに会ってもあまり表情に出ない。でも、私には有馬さんが少し笑ったのを見逃さなかった。

有馬貴将――。
CCG最強の特等捜査官。

天然、分からない、天才。

からっぽな人。




郡と飲みに行くと大抵愚痴を言われる。
S1のリーダーに昇格して偉くなっては彼の性格上、生きづらそうに任務を遂行していた。そうして今度はロゼ掃討の本指揮。

「クインクス班やら、キジマのイカれヤローも一緒ですよ。どいつもこいつ好き勝手に……!」
「コラコラ、同じ捜査官だから」

ちょっと融通が利かないのが彼を苦しめているんだろう。

「先輩が本指揮代わって下さいよ!!」
「私は0番隊から離れられないのよ」

そう言うとと郡はグラスに残った濃い酒を一気に飲み干した。

「なんで有馬さんと付き合えるんですか!」

私がCCG内で話題になるのは大抵コレだ。隠している訳じゃないんだが、ぱっと見、みんな気づかない。だけどいつかの会議中にサラリと有馬さんが言ったことで、私はある意味伝説になった。

まず、あの有馬さんと付き合うというのが可能なのか。
そして、有馬さんから告白されたというのがみんなから信じてもらえない要因だった。

最近はそれなりに浸透してきたように思う。

「有馬さんと付き合ってる先輩も分からないけど、有馬さんはもっと分からない……」

――完全に酔い始めたなぁ。

「そういう人だから」


人間味は確かに感じられないかもしれない。でも、彼にだって感情はあるもので私は人よりそれには敏感だ。

だからなのか。最近彼が遠く遠くを見るようになったことに、私の胸に引っかかっていた。


To be continued…

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