降り出した雨の音が悲しい






アンダーテイカーの腰で揺れる遺髪入れ。
私は彼が死神だということは知っているけれど、彼は肝心なことを教えてくれない。

「死んだ人のしか入れないんでしょ?」
「ン〜、そうだねェ」

夜道を2人で散歩中そんな話になった。
どうして彼は人間の私を側に置いているんだろう。

「アンダーテイカーは私よりも何年生きているの?」
「さァ? どれくらいだっけ?」

真面目に答えているのか、ふざけているのか。それも分からない。いつもの笑いをして私の質問に応えようとしないのだ。

でも、ずっと生きているのだとしたら。
終わりがないというのは、人間の夢である不死ということだ。でも不死はきっと辛い。
自分に終わりが無かろうと、周りの人間には終わりがあるのだから。

たったひとり、取り残され続ける。

「もし私が死んだらさー」
「なんだい?」
「そこに私も入れてね」

前を歩くアンダーテイカーの足が止まる。
見上げると、急に強く抱き締められた。

「……キミは入れてあげない」
「どうして?」
「小生をひとりにする気かぃ?」

黄緑の燐光の瞳が私を射抜く。
黄緑は魂の色。彼に、私の魂が見えているだろうか。

「さみしがり屋だね」
「お互い様だろう」


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2017.2.5 葬儀屋


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