『どうぞよしなに』


私は、神というものは信じておりません。

 そんなものがいたら、きっと不幸せな者など存在しておりませんでしょう?善良な神なら放っておけないはずです。
世の中には不幸せな、可哀想な人間が溢れています。幸せな人間の方が少ないでしょう。

 もし、神とやらがいるのだとしたら。
 きっと、不幸せな者を見るのが好きなのです。

 人の不幸は蜜の味、と申します。
 神が人間を神を模して造ったというのが、本当であれば合点がいきます。神も元から人の不幸が好きだったのではないでしょうか。

 私は神に見捨てられた人達を救いたかった。みんな笑顔で私に感謝を述べて、安らかな顔で死んでいきました。みんなそれまで苦しそうな顔をしている者ばかりだったのに、笑ってくれたのです。

 私は後悔をしておりません。

 しかし、私の役割もそろそろ幕引きのようです。私もそろそろ皆様のところへ参るとしましょう。
 ……さて、あちらで皆様は元気でいらしているでしょうか?久しぶりに、先に死んだ両親にも再会してみたいです。文句を言われるかもしれませんが、先にわたしを置いて逝ったのは彼等ですから、何も言えますまい。

……。
死ぬ前に、分かったことがあります。

 私は死ぬのが恐ろしかったのでしょう。
だから、死を近づけるためにリュミエールを立ち上げたのかもしれない。人間に死を近づけるために。
たくさんの死を目の当たりにして、私は恐怖心を取り除けました。

なんて、自己中心的なのでしょう。
自分で笑ってしまう程。

でも、きっと。
神様とやらは赦した筈です。

私のような人間の人生を見れてさぞ面白かったでしょうから。

「C’est la vie. 」

さぁ、私を見限って頂きたい。



To be continued….

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