本日の恋模様、雨のち虹


せっかくの休日――万事屋は基本休日みたいなものだけど――なのに、銀さんはいつもと変わらずソファでジャンプを読んでいる。

新八君や神楽ちゃんはお妙さんとお出かけだそうでいない。つまり、私と銀さん2人だけ。

だから、デートしよう。
――みたいなことを期待していたのに。

テレビを見つつ、私は銀さんをチラリと見た。真剣な顔をしてジャンプを読み進めているようで、私の視線には気付きもしない。

――つまんないなぁ…。

手に持っていた湯飲みのお茶の水面には私の退屈そうな顔が映り込んでいた。

まぁ、銀さんが自分からデートしようなんて言うのもあまり期待できないかもしれない。銀さんはあぁ見えて照れ屋だし…。

そうだ、自分から言おうってどうして私は思いつかなかったんだろう。
もう一度、銀さんを見る。変わりはない。
私は意を決して口を開いた。

「あ、あのさ、銀さん…」
「ん?」
「その、良いお天気だしどっか行かない?近くでいいからさ…」

そう言うと、銀さんは初めてジャンプから目を離して私の方を見た。
どうせ「めんどくせー」とか言われるんだと、私の期待は不安定になりかかっていたが――、

「まぁ、そうだな。せっかくぱっつぁんも神楽もいねぇし」

「えっ、ホント!?」

――やった…!!
私は何を銀さんから言ってほしいなんて思っていたんだろう。自分からだって言うのを躊躇したくせに。銀さんは起き上がると、私に向かってチョイチョイと手招きしたのでわたしはすぐに銀さんの元へと駆け寄る。

その時、銀さんがニヤリと笑った気がしたけどもう私は銀さんの膝の上に座らされていた。

「言ったな、アヤ。デートしたいんだろ?」
「……? う、うん…」
「じゃあ、しようじゃねぇの。…おうちデートでいいだろ?」
「…えっ、え!?私は外に出よって…、ひゃあ!」

視界が逆転して、私はソファに押し倒された。目の前には銀さんの勝ち誇った笑顔があった。

「待ってたんだよ、お前から言ってくんの俺はー。いやぁ、まさかお前から誘ってくれるとは銀さん嬉しいよ」

「ち、違う!誘ったのはそっちじゃない…!」


――あぁ、私は騙されたのか。
やっぱり銀さんの方が1枚上手のようだ。

あなたには敵わない
(はーい、アヤチャン、手ェどかそーねー?)
(バカ!バカバカバカ!!)






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