死ぬ気で叶えてみなよ
最近真選組に入ってきた女隊士の藤堂アヤという奴。最初は真選組全体が戸惑いを隠せなかったが、どうもその女は剣の腕は一流だったために近藤さんも断れなかったらしい。
あのとっつぁんも良い女だが無闇に手が出せないと言っていた。「…怖い」と呟いていたから、何か痛い目にあったのだろう。
「総悟くん、前の調査書なんだけど…」
「あ、へい」
そんな噂話を聞いたとしても真選組の血気盛んなヤロー共はこの女を諦めていない。俺の部屋に来ていたアヤを追って、ヤロー共まで部屋の外に来ていた。
「総悟くん、聞いてる?」
「あぁ、すいやせん、姉御」
この姐御肌的な「頼れる女」が魅力なのか。
――ムカつく。
――どいつもこいつも見ていやがるのが邪魔で仕方ねぇ。
「姉御、ちょっと待ってて下せぇ」
俺は立ち上がって、部屋の外で隠れているつもりの見えないヤロー共だけに聞こえるように「早く見廻りに行け、切腹なんかできると思うな。拷問部屋に住ませるぞ」と言うと一斉に気配が消えた。
障子をしっかりと閉め切ると、俺はやっと姉御のところに戻った。
「今何か言ってた?良く聞こえなかったのだけど……」
「姉御。姉御は剣の腕も確かだが、ひとつ足りてねぇや」
「へ?」
姉御の首の後ろに手を回して俺の方へと引き寄せた。息を飲むのが分かったし、すぐに抵抗しようとしたみたいだがそれすら抑えつけて俺は姉御に口付けをした。
ゆっくりと顔を話すと真っ赤になって固まっていた。それは剣士じゃなくて女の顔だ。
「隙がありまさぁ、男が隙入れるような」
「……っ」
少し涙目でこちらを睨むその姿を見て俺のS心がざわつくのを感じた。
――なんでぃ、姉御は意外とそっち系かぃ?
自分しか知らない顔
(おい、総悟。あっちで隊士が青ざめているんだが……)
(土方さん、あんたも拷問部屋に住みますかぃ?)
(はぁ!?住めるか!!)
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