星の数ほどの人の中で
銀時がまた怪我をして帰ってきた。
本人はピンピンしているから心配ないだろうけれど、それでも小さくはない傷だ。
やっぱり戦況がよくないらしい。知っている顔がどんどん少なくなっているのを私は感じていた。幕府軍の攻撃は天人の攻撃も重なってこちらには重いものだ。
このまま戦は続くのだろうか。
そうしたら、銀時達もーー。
「手当て頼めるか?」
「あっ、うん」
銀時の包帯を新しいものに交換する。銀時は他の人に比べて、傷の治りが早いから少しだけ安心した。
「……また無茶したの?」
「心配すんな俺はそんなヤワじゃねぇよ」
ーーまた強がって……。
自分だけは大丈夫と思っているのだろうか。
「私も、みんなみたいに戦場に立てたら良かったね」
「……何言ってんだよ、そんなこと……」
「分かってるよ、困るよね。あーぁ、私も剣術やっとけば良かった」
「ちげーよ、バカ!お前が怪我したらどーすんだよ!」
銀時に勢いよく言われて、思わずすくみ上がる。私がびっくりして固まっていると、銀時が慌てて「わりぃ…」とそっぽを向いて言われた。
ふたりともなんとなく気まずくなって黙ってしまった。しばらく黙っていると、私の手に温かい何かが重なった。銀時を見ると相変わらずそっぽを向いたままだったけれど、私の手を握っていた。
「……あのさ」
「……な、なに?」
銀時のいつも死んでる魚みたいな眼をしているくせに、真剣な眼をして私を見てきた。心臓が高鳴り、眼が離せなくなってしまった。
「……もし、この戦が終わったら…….、俺と一緒になってくんねぇかな……」
ーー全身が熱くなる。
銀時の手にさらに力が入るのが分かった。
何か答えを言わなきゃと、それでも口は上手く動かない。だから、私は首を縦に振った。
「……マジで?」
私はもう一度頷いた。それでも銀時は何度も何度も聞き返してくるから、可笑しくなって自然と笑顔になっていく。
「……私でいいなら、よろしくお願いします」
やっと答えを口にしたら、急に銀時に抱き締められた。「銀時?」と名前を呼ぶと何故か言葉にならない呻き声のようなものが聞こえてきた。
「ど、どしたの、銀時?」
「いや、大丈夫だ。……うわぁ、良かった…、高杉に取られる前で良かったぁぁぁ……!」
最後の方は小さくて聞こえなかったけれど、どんどん銀時の腕の力が強くなってきて痛くなってきた。銀時の腕を軽く叩くと、私の身体をゆっくりと離した。
「すぐに戦なんざ終わらせてくっからよ、お前はここで待っててくれよ」
「……うん、分かった」
「あと怪我の手当ては俺だけでいいから」
「それはダメ」
ーー大丈夫。
私はあなたを信じてるから。
銀時は絶対約束を守るもんね。
守りたかったもの
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