「最悪だ…何で、何でよりによって三成なんかと!」
「それは俺の台詞だ」
「ムカつく!」
「貴様もな」
さっきからひたすらこの会話の繰り返し。山賊討伐に来た帰りに、私が足を滑らせたのが始まりだった。確かに悪いのは私だけど、それは不可抗力であって悪気があったわけではない。とっさに掴んだのが三成の着物だっただけのことなんだから。そしてわけも分からず斜面を転がり落ちた私たちは、見事に遭難してしまったらしい。更に、私は足を挫いてしまったようで立つことすらままならなかった。…最悪だ。三成にバレるとひたすら嫌みのオンパレードになる。それだけは我慢できない。
「あーあ、死ぬのかな…私」
「大袈裟な奴だな、こんなことでは死なん…俺はな」
「いいもん、私が死ぬときはあんたも道連れにしてやるから!」
「貴様にやられる程、俺は鈍くはないぞ」
「あー、もうムカつく!」
「ならば少し黙れ」
お互いイライラして少し口調が荒くなっていた。三成は元々口が悪いのだけど、今は更にトゲトゲしている。私だって、本当は三成と喧嘩なんてしたくないんだけど。
「とりあえず登るぞ」
「え、登るの?!」
「俺たちは上から落ちてきた。登れば元の道に出られるはずだ。遭難して尚、山を下ろうなど愚か者のすることだ」
「何ですって!このお利口さんめ!」
「悪口になっていないぞ」
「もう勝手に山でも何でも登ればいいじゃない!私も勝手にするから」
頭のいい三成に無性に腹が立ってそっぽを向く。正直、三成が居なかったら心細くてどうなっていたか分からない。それがまた悔しかった。三成は盛大なため息を吐いて、私の前に背を向けてしゃがんだ。
「早く乗れ」
「え、」
「足、挫いたのだろう?」
どうして、と問う私にお前は分かりやすすぎるからなと三成は言った。恥ずかしいやら嬉しいやらで顔が熱くなる。私、もしかしたら三成が好きなのかもしれない。
そして英雄はこう言いました
「お前は少し痩せたほうがいいな」
前言撤回、三成なんか嫌いだ!
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