どんよりと重い雲が空を覆いつくした夜は、どこもかしこも暗闇で何か恐ろしい妖怪でも出てきそうなほど不気味だった。
しんと静まり返った城内が余計に恐怖心を煽る。
今ばかりは、このだだっ広い城を恨めしく思った。
灯りを点けたまま眠るというわけにもいかず(火事になったほうが怖いし)、どうしようかと悩んだ末に三成のところへやって来たのだけど、正直彼も怖かった。
いつにも増して眉間にシワが寄っているし、下手なことを口走ればすぐにでも追い返されそうな雰囲気だ。
不機嫌な三成は深いため息を吐きながらも私に布団を譲ってくれた。
「…三成、怒ってる?」
「別に」
「嘘だ、絶対怒ってる!」
「…追い出すぞ」
「ごめんなさい」
布団の脇に座る三成は眠いのか、深いため息を吐いて不機嫌そうに言った。
怒りながらも布団を譲ってくれた彼をこれ以上怒らせないように、もう寝よう。
そう思って目を瞑った。
「寒い…」
「え、ちょ、三成!?」
「うるさい」
急に布団が捲られたと思えば、もそもそと三成が入り込んでくる。
驚いている間もなく引き寄せられ、気づけば三成に抱きしめられていた。
「何すんの?!ちょっと三成、」
「寒いのだ。これくらい許せ」
「無理無理!こんなの不埒よ!不義だわ!」
「黙れ。夜中に人の寝床に押しかけてくる方が不義だ」
「う…」
言い返せず大人しく抱きしめられていると、しばらくして規則的な寝息が聞こえてきた。
こんな状況で寝られるんて、ある意味羨ましい。
私は壊れたように音を立てる心臓のせいで、とうとう夜明けまで起きているハメになってしまった。
寝付けません
(こんなことならおねね様のところに行けばよかった)