しとしとと降り続ける雨。
城内の廊下は薄暗く湿っていた。
こんな日は決まって私は政宗様のもとへ向かう。
「失礼致します」
返事も待たずに襖を開け、中へと入る。
私の思った通り部屋の主は居らず、空っぽだった。
私はその空っぽの部屋に足を踏み入れ、備え付け(私が勝手に置いてるだけ)の傘と布を手に取る。
シンとした薄暗い部屋に雨音だけが響いていた。
「政宗様、」
「名前か…」
庭の真ん中に佇む主はこちらを見ない。
ただ虚空を仰ぐだけで、衣服が濡れようが気にしていないようだった。
私は傘を差し政宗様の所まで歩みよる。
こうして雨に濡れるのは、涙を誤魔化すため。
涙ではなく雨粒だと言い訳するため。
それを知っているから私は何も言わずに傘を差して隣に立っていた。
政宗様に傘は差さない。
「風邪を引いてしまいますよ」
「構わん」
こちらも見ずに答えた政宗様の声が僅かに震えている気がした。
私はどうしようもなく切なくなって政宗様の手を握る。
冷たかった。
「名前…」
「はい、政宗様」
「ワシはちゃんと天に昇っているか?」
「ええ、ちゃんと」
ギュッと握り返された手に頬を緩めながら答えた。
政宗様はそうか、と言って笑う。
そこでようやく私は傘を差し出して布で濡れた髪を拭いてやった。
雨粒ラプソディ
(ワシについてきてくれるか、名前)
(地獄までもお供します)
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