つい先刻、自軍総大将の秀頼公が討たれたと伝令が伝えに来た。

──負けてしまった。

悲しいとか悔しいとかそんな感情よりも護るべき主が討たれ、共に戦った友を失った喪失感がとてつもなく大きい。
誰のものかも分からない血が、着ている衣装を赤黒く染めている。
辺り一面、この戦で散っていった武将で埋め尽くされていた。
その中でも一際目立っている彼は、今はもう私の膝の上で事切れている。
最後の最後まで奮戦していたものの所詮、劣勢を覆すことは出来ず花と散った。


「幸村…」


何度呼んでも返事はない。
血に濡れた頬は冷たく、眠ったような表情は恐ろしく穏やかで。
彼の最後の言葉がただ私の中でこだましていた。

──私は名前殿が好きでした


傷は痛かったはずなのに、
死ぬのは怖かったはずなのに、
彼は綺麗に笑って逝った。
私の言葉を聞く前に逝ってしまった。
残された私はただ幸村を抱きしめて静かに泣いた。


「私も好きだよ、幸村」


冷たい頬
(決別の口付けをひとつ落とした)
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