ザアザアと今朝から降り続く雨は止むことを知らず、日も落ちた今もなお地面を濡らしていた。世間はクリスマスイブというイベントに心を踊らせているようだが、私には関係のないことだ。一緒に過ごしたいと思う相手が今日帰ってくるかどうかもわからない。もう半年も連絡を取っていないのだから、私のところには帰ってこないのかもしれない。淡い期待はするだけ無駄だと分かっているけれど、完全に消し去ることができなかった。二人分の料理を用意しているのが何よりの証拠だ。

「バカみたい」

窓の外で上から下へと断続的に落ちる雫を眺めながら私は自嘲気味に笑った。寂しい、なんて今更。普段なら耐えられたあの人が居ない日々。だけどやっぱり街で見かける幸せそうな恋人たちを見ると、羨ましくて仕方なかった。だけどそんなの私のワガママ。

「寂しいよ…晋助」
「俺も寂しかったぜェ?」
「えっ…」

涙こそ出なかったものの、つい零れた本音は愛しい愛しい声に拾われた。それと同時に少し冷えた腕が私を後ろから抱き寄せる。耳元で聞こえた低く甘い声が私の心臓をひどく驚かせた。まさか、そんな、だけど。逸る気持ちを何とか抑え、ゆっくりと振り返る。

「晋、助…」
「よォ、久しぶりだな。元気だったか?」
「本物…?」
「偽物に見えるかァ?」

少し雨に濡れている彼から徐々に体温が伝わってくる。ようやく動きを取り戻した脳は、私の目から止めどなく雨を降らせた。会いたかった。毎日毎日寂しくてしかたなかった。そう言えたらいいのだろうけれど、彼の重荷になりたくなくてただ涙を拭う。晋助は私を正面から抱きしめ直すと、クククと喉で笑った。そして、その綺麗な指先が私の涙を掬う。

「どうして…」
「今日はクリスマスじゃねーか」
「そうだけど、」
「お前が寂しがってると思ってな。丁度メシも出来てるみてーだし」
「晋助…」
「食おうぜ」
「うん」

それは雨の降る夜のこと
(明日晴れたらどっか行くかァ)(え…でも、)(嫌だったら家で…)(嫌じゃない、嫌じゃない!)
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