クリスマスをカップルで過ごそうなんて言い出したやつがいるなら、今すぐぶん殴ってやりたい。本来家族で過ごすためのクリスマスパーティーが、いったいいつから恋人たちの一大イベントになったんだ。一人で過ごしたいなんていえば、すぐに独り身の言い訳だとか寂しい人だとか陰口叩かれるし。マジやめてほしいんですけど。彼氏と過ごすことに一体何の意味があるっていうの。私はそんなことを思いながら、バイトからの帰路についた。冬の夜風が身に染みる。家に帰ったら温かいココア飲んで大好きなプリンでも食べよう。うん、そうしよう。そんで早く寝よう。そう決心したのと同時に着信が鳴り、ディスプレイを確認すれば幼なじみからだった。何だか嫌な予感。
「もしもし…総悟?」
『何か買ってこい。10分以内な』
「は?ちょっ……切りやがった!」
何かっていうのが一番困るんですけど。その割に文句言うから余計。…嫌な予感って当たるから嫌な予感なんだね。ケータイから聴こえるツーツーという電子音を止め、大きな溜め息を吐いた。とにかく何でもいいから買って帰らなきゃえらいことになる。私は急いで近所のコンビニに走った。
「ただいま」
「遅かったねィ」
「これでも普段の二倍は早かったんですけど」
コンビニ袋を手に自分の部屋へ行くと、勝手にDSで遊んでる総悟が目に入った。毎回毎回勝手に上がりこんでくつろいでいるこの男は私の幼なじみというカテゴリーに分類される。私がテーブルに袋を置くと、DSをベッドに放り投げてテーブルについた。
「まーたプリンですかィ」
「お金払わないくせに文句言わないでよ」
「ヘイヘイ、…あり?酒は?」
「ないよ。ていうか未成年だから控えろ」
「えー…ケチ」
「そういう問題じゃないから。ていうかいつまでいる気?」
「明日」
え。明日って、泊まる気?と聞き返せば、そのつもりと返ってきた。ふざけんな、コノヤロー。いくら明日から冬休みといえど、初日からはっちゃけすぎだろ。黙々とプリンを食べている総悟は本気で居座るつもりらしく、動く気配はなかった。
「第一せっかくのクリスマスを何であんたと過ごさなきゃなんないの」
「どうせ一人だろィ?俺も一人だしちょうどいいじゃねぇですか」
「まぁそうだけど…」
でもやっぱりクリスマスは恋人と過ごしてみたい、なんて。散々一人で過ごしたいとか言ってたけど…やっぱりちょっとだけ寂しいかも。
「総悟も彼女作って一緒に過ごせばよかったのに。この間告られてたじゃん」
「ああ…あの人は美人すぎるんでさァ。タイプじゃない」
「何かむかつくんだけど」
「俺ァ、もっと平凡な感じがいいんでさァ。アンタくらいに」
「平凡で悪かったわね…はぁ」
モテるやつにしかない悩み…っていうか嫌味?私には理解できない贅沢な悩みなんですけど。考えれば考えるほど何だか切なくなってきたから、大好きなプリンを口に放り込んだ。やっぱりプリンは最高の癒やしだ!
「アンタはそんなに恋人と過ごしたいんですかィ?」
「いや、別にそういうわけじゃないけど…」
「じゃあ、俺と恋人になりやすか?」
「…はい?」
同情なんかじゃなくて
(これで恋人とクリスマスが過ごせますねィ)(…バーカ、)(来年も再来年も、クリスマスは空けといてくだせェよ)
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