五年越しで付き合っていた彼と別れたのが丁度半年前。別れる原因なんて単なる私のワガママだった。付き合いがマンネリ化したこととか、いつまで経っても安定した収入が得られないこととか。そんな些細なことも手伝って、私は別れを決意した。別に彼が嫌いになったとかじゃなくて。むしろ大好きだったりするわけで。私にもう少し強さがあればよかっただけの話。ただ漠然と将来に不安を抱いてしまったの。付き合い始めのころは、この人の隣に居ることがどうしようもなく嬉しくて、極上の幸せのようだったのに。年を重ねる毎に気持ちは色褪せてしまったのか。いや、そうじゃない。隣に居ることが当たり前の生活にちゃんとした証が欲しかったんだ。いわば保証。アナタの隣に私が居てもいいですよ、っていう。そんなものがないと不安だなんて、私は何て弱い。
「ちゃんと俺のこと見てくれてる?」
「うん、見てるけど」
「……はぁ、やっぱり俺たち終わりにしよう」
「…わかった」
3ヶ月と2日目の今日、私は別の人と別れた。ため息を吐きたいのはこっちの方だ。この人は分かってない。私の性格も癖も何もかも。私は、ちゃんと知っていたのに。ただ、いつも銀髪の彼と比べてしまっていたのは事実だけれど。忘れるために付き合ってみた人だけど、結構いい感じだった。と思っていたのは私だけだったみたい。もう二度と訪れないであろうその家を出て、ふらふらと自分の家に向かう。
「あーあ、どうしろっての…」
消えてくれない銀色の扱いはどうすればいいのだろう。今なら漠然とした悩みだって乗り越えられる気がする。後悔なんて今更。あなたの隣を放棄したのは私なのに。どれほど焦がれようと手放した私に権利なんてないのに。
「…銀時」
「よォ」
「何で…?」
私の家の前に座り込む銀色。半年ぶりの姿に胸の奥が熱くなる。夢なんじゃないかと思った。綺麗な銀色の髪を掻きながら黙る彼に、私も黙って言葉を待つ。沈黙が私の不安を煽って、俯いて彼の足元を見つめた。影が重なる。ふと感じた温かさに私は抱きしめられているんだと気づいた。懐かしい、銀時の腕の中。
「何ていったらいいか分かんねーけど」
「…」
「俺、お前じゃねーとダメみたい」
涙が出るほど嬉しくて、私もと言えば降ってきたのは甘い唇。
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