日曜日の朝、たまたま点いていたテレビに目を向ければ、今子供に人気があるとかいう戦隊モノが流れていた。そういや子供だけじゃなくて親にも人気あんだっけ。イケメンばっか使って点稼いでるっつーのは納得いかねーよな。変身すりゃ顔なんて見えねんだし、実際アクションしてんのはムサいスタントマンなんだよ。みんな騙されてんだ。テレビに向かってそう言ってみたところで特になにもない。だって今現在地球にこんな悪の組織なんて居ないし、何とか戦隊なんて正義の味方も居ないわけで。全ては実在しない架空の設定なわけだ。だからいくら文句を言おうが何の意味もない。そんなこと分かってるけどよォ、何か腹立つんだよな。
「なーにが世界を救うだよ、建物壊してんじゃねーかよ」
世界を救う前に足下の建物救えよ。今合体ロボがぶっ壊したビルだってなァ、何百人っていう人間が大金かけて建てたんだ。また建てるの大変じゃねーか。建物壊していいのは地球に三分しか居られない巨大戦士だけって決まってんの。やっぱ戦隊モノは好きになれねーわ。こういう時は糖分って決まってんだ。苺牛乳を口に含むと甘酸っぱい味が広がって幸せな気分になった。
「電話か」
微かに電話の音が寝室から聞こえる。ゆっくりと向かうと電話は尚も鳴り響いていた。誰かなんて当に分かっている。いつものようにユルくもしもし〜?と言えば、やっぱりあいつ。
『先生〜、おはよ〜!』
「あァ、はよ。で、何?」
『えー、別に。先生の声が聞きたかっただけ』
嘘だな。三年も担任やってんだよ、お前の嘘なんか顔見なくても分かっちまう。お前が電話掛けてくる時は決まって寂しい時か助けて欲しい時。SOSのサインなわけ。オーケー?
「お前、今どこ?」
『…家』
「すぐ行く」
俺は思うわけよ。何とか戦隊とか何とかライダーとか梅干し食ってスッパマンとかみたいに、めちゃくちゃ強い武器を持っているわけでもねーし、空飛ぶ乗り物もねーし、変身もできねーし、世界を救うとか大それた夢も希望もないけど。誰か一人、大切な人を守れればそれでいいじゃないかって。みんなそうやって誰かを守れば解決じゃね?そう思うわけ。俺はお前さえ守れればそれでいい。なんて自己中すぎか。
『先生ありがと』
今更だろ、何年目だと思ってんだよ。そう言えばお前は少し掠れた声でもう一度ありがとうと呟いた。
スーパーマンでもないけれど
せめてお前のヒーローくらいにはなってやるさ。
「愛と平和を唄っていた」様
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