※バトロワパロディ、死ネタ注意
※バトロワの意味がわからない、許せない方は閲覧をお控え下さい
「切り裂きジャックって知ってるかィ?」
目の前で妖しげに口角を上げるそいつは唐突にそんなことを聞いてきた。は?切り裂きジャック?知らない、そんなもの。興味ない。ていうか、今そんなことに答えてる場合じゃないし…なんて言えるはずもなく、震える喉からでたのは掠れた知らない、だった。首に巻きついている金属が急に締まったような感覚に苦しくなる。心臓もバクバクいってて破裂しそう。体中から冷や汗が吹き出て気持ち悪い。ああ、家に帰りたい。帰ってシャワー浴びて友達とメールしながら好きな音楽聴いてゴロゴロしたい。そんな想像をしていると目の前の男はまた笑った。制服には尋常じゃない程の紅い液体の痕。どうやったらそんなに血みどろになれるんだ。って、そんなこと奴の足元を見れば誰だって分かるか。こみ上げてくる嘔吐感に涙が溜まる。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。
「ほんとに知らないんですかィ?」
「し、らない…」
不満気な顔で聞いてくる奴に私はまた掠れた声で答えた。怖い、逃げたい。でも足が竦んで動かない。全身から危険信号が出ているにも関わらず、どこの筋肉も私の意志に背くように固まったまま。このままじゃ私も…。嫌だ、そんなの。死にたくない。生きたい、だけど怖い。
「ジャックは正体不明の殺人鬼でさァ」
歪んだ表情から読み取れるもの、彼は楽しんでいる。切り裂きジャックに憧れているんだ。たった一本のナイフをもった奴は。狂ってしまったに違いない。人間とは思えない程に惨たらしいソレは奴の足元にまだ転がっている。何ソレ。一体何?見れば見るほど気持ち悪い。奴は平気で触っている。狂ってる。
「ジャックの犯行手口は決まって同じ。媚婦の喉元を掻き切って、腹を割いて腸を引きずり出し、それから子宮を持ち去るんでさァ。それだけじゃねェ。鼻も耳も削いで皮も剥ぎ取って、切り取った腕はからっぽの腹に…。見つかった死体はバーラバラ…」
「や、だ!やめて…!」
「犯人が誰だか分かっちゃいねェのがジャックの凄い所なんでィ」
奴の足下のソレは、奴が嬉しそうに語った犯行手口とまるで同じだった。長い腸は顔に巻きついているし、削いだ欠片は積み上げられている。一体誰なのかも分からないソレを踏み越えて近づいてきた。踏んだ拍子にグジュと嫌な音を立てて血が吹き出た。更に高まる嘔吐感と戦いながら必死にスカートの裾を握り締めた。じゃないと私も奴の餌食に…。
「名前、俺ァあんたのこと嫌いじゃないですぜ。むしろ好きでィ」
「お、沖田くん…お願い、やめて…!」
「その顔たまんねェ。喉掻っ切ったらどんな顔すんだろーねィ」
「…っや、ぃや!」
既に血がこびり付いたその切っ先を私の喉あてがって言う。息が出来ない。涙で視界が滲む。恐怖で思考回路も停止。少し力を入れられただけで私の皮膚が切れた。そこからツー…と暖かいものが流れる。痛いよ、怖いよ、痛いよ。ガタガタと震える身体は抑えても止まらない。彼がつけた傷がチクリと痛む。そこから流れる液体は奴の赤い舌に舐めとられた。そのまま噛みついてきた奴に私は痛さで悲鳴をあげる。殺される…怖いよ、痛いよ。先に殺されたソレもこんな気持ちだったのかな。痛くて怖くて、だけどどうすることも出来なくてただ死ぬのを待つだけ。どうせ死ぬならもっと楽な死に方がよかった。こんな残酷なものじゃなくて。銃とかだったらもっと一瞬だったのに。奴に押し倒され、そのまま噛みつくように唇を塞がれる。手に握られている血まみれのナイフがキラリと光る度に涙が流れた。恐怖とは裏腹に奴の唇の熱さに火照る身体。どちらのものか分からない唾液が伝う。少し鉄の味もした。
「もっと嫌がって、泣き喚いてくだせェ。痛さに顔を歪めて死んで逝けばいい。俺は名前のそんな顔が見たいんでさァ」
JACK
THE
RIPPER
(切り裂きジャックはここにいた)
back
ALICE+