結構本降りになってきた雨を見て、店の入り口で立ち止まった。
ぼんやりと頭の片隅で来るときは小降りだったのに、なんて考えてみたところで本降りになった雨を止めるのは不可能だ。
別に傘がないわけじゃないから帰れないことはない。
ただ、何となく雨を眺めていた。

……ら、前方に見たことのある派手なヒョウ柄のタンクトップを着た少年を見つけた。
あんなに目立つ服を着れる人物を自分は一人しっている。
少年は、雨の中傘もささずに走っていた。


「おーい、金ちゃん!」
「おっ、名前やん!」


トトト、と走りよってきた金太郎の頭を持っていたタオルで拭いてあげるとちょっと赤くなった。
金太郎は落ち着きなくぴょんぴょんと跳ねる。


「なぁなぁ、名前。こんなとこで何しとるん?」
「ノート買いにきてん。金ちゃんは?」
「ワイ?ワイは散歩や。家おっても暇なんやもん!」
「こんなに濡れたら風邪引くで」


大丈夫や!元気いっぱいに答える金太郎に思わず笑ってしまう。
無邪気な笑顔に内心ドキドキしつつも、平生を装った。


「しゃーないから、一緒に帰ろか。金ちゃん、傘ないやろ」
「えー名前と相合い傘ー?」
「せや、嫌なん?」
「い、嫌ちゃうわ!あ、傘はワイが持つからな!」
「金ちゃん、うちよりちっちゃいやんか」
「むっ、何やと!」


怒り出した金太郎に、ごめんごめんと謝って頭を撫でると大人しくなった。
まだまだ子供な証拠だ。


「もーええもん!名前がしっかり傘もってや!」
「じゃぁ、しっかり入ってや!」
「わかっとるわ!」


触れる肩が嬉しくて思わず「金ちゃん、可愛いわ」と呟くと「何や名前、ナンパはお断りや」って返された。


Hey Boy!
(金ちゃん暇やったらウチくる?)(行く!)(あれ、ナンパはお断りちゃうかったっけ?)(えーの!)

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