かれこれ一年。
弦一郎と付き合ってから既に一年の月日が流れた。
一年といえば割と短いもので、特に恋人らしいことなんて何一つしていないうちに過ぎ去ってしまった。
彼はテニスに夢中なうえ、かなりお堅い現代人には珍しい若者なわけで。
私の彼氏になってくれたのだって、実は奇跡に等しいのかもしれない。
だけど付き合ったからには、手をつないだりキスしたりしたいという願望は少なからずあったりする。
このままでは、本当に何一つ経験なしで破局とかになってしまいそうだ。
それは私としてもよろしくない。
だって私はこう見えても弦一郎が大好きなんだもん。

「あのさ…、弦一郎」
「何だ」
「キスしたい」
「なっ!我々にはまだ早い!」

意を決して彼にそう言うと、真っ赤になった。

「じゃあ、いつになったらキスしてくれる?」
「………名前は、その…せ、接吻をしたいのか?」
「(接吻て…)したいよ?だって弦一郎のこと好きだもん」
「な」

手を握ってちょっとだけ彼に寄りそうと、さっきよりも真っ赤になる。
おもしろくて私は更に彼に言葉を投げかけた。

「弦一郎は私のこと嫌い?だから何にもしてくれないの?」
「名前」
「え…?」

唇に触れた熱に私は呆然とした。
ドクンドクンと脈が激しくなる。

「俺は好きでもないやつと付き合ったりはせん。本当はいつも触れていたいと思っていた」
「弦一郎…」

ギュッと抱きしめられた私は、たまらなく嬉しくてもっと弦一郎が好きになった。


にほんいち
(愛されてるんじゃないか、って思う)
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