ぽかぽかと温かい陽気を背に受けながら私はリリーとリーマスの三人で穏やかな一時を楽しんでいた。それはもう大いに!そして気持ち悪いポッターも煩いブラックも居なくて、談話室は穏やかだ。あの二人が居ないだけでこんなに世界が違うとは思わなかった!リーマスの淹れる紅茶も美味しいし、リリーの話も面白い。久しぶりに充実した休日が送れる…!そう思ったのも束の間で、ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきた。絶対アイツらだ!リリーも鋭い目つきに変わる。リリーはポッター察知能力が凄いから間違いない。穏やかな雰囲気も一変し、私たちはなるべく気配を消した。出来ることなら私たちに気づかずそのまま談話室を飛び出して行ってくれ!あわよくば罰則なんぞも受けてこればいいのに。そんな私たちを見てリーマスはくすりと笑った。


「あ、名前居た!何隠れてんだよ」
「僕のリリー、元気にしてたかい?僕が居なくて寂しかっ…ぐはっ!」
「そんなわけないでしょう、鬱陶しいわね!」


真っ直ぐ私たちのところに走ってきた二人に私たちはため息を吐く。そして今日も気持ち悪さ全開のポッターがリリーに猛烈アタックを繰り広げ、即ノックアウトされた。いい加減学べ、と声を大にして言いたい。私が無視を決め込んで紅茶を啜っていると、ブラックが名前を呼び始めたのでしぶしぶ振り返った。


「名前!名前!」
「…何、」
「新しいイタズラ考えたんだ。だから試させて」
「バカじゃないの、なんで私が」
「お前しかいないだろ」
「はぁ?バカじゃないの」


誰が好き好んでイタズラの実験台になるって言うんだ。嫌に決まってる。私が嫌悪感丸出しでそう言ってもブラックは全く気にする様子はない。むしろ既に杖を構えて準備万端だ。これってれっきとしたイジメだと思う。


「いや、なんで杖構えてんの?ていうか、そこにいるポッターで試せばいいじゃない」
「名前じゃなきゃヤダ」
「そのセリフ、あんたを好きな子に言ってやれば?泣いて喜ぶよ、私は喜ばないけど」


大体、どうして私がブラックからイジメられなければならないのか分からない。入学式の日に私がブラックの足を踏んだことを根に持っているなら、私は悪くない。その場で謝り倒したのだから。第一、何年も前のことだというのにしつこすぎる!そしていつからか日常と化しているブラックからの嫌がらせに、私は対抗し始めた。それももう何年も前から。おかげで私までマクゴナガルに叱られ、目を付けられるはめになった。

全くもって不快だ!そして私に構わないでほしい。


「何だよ、名前らしくねぇな。変なモンでも喰った?」
「私は正常よ!大体、ブラックのせいで私まで罰則受けさせられるのよ!もう私に構わないで」
「嫌だ、大体罰則は俺のせいだけじゃないだろ。教室の半分を水浸しにしたり俺の鍋を爆発させたりしたのは誰だったかな?」
「それはブラックが私に嫌がらせするからじゃない!」


一度だって自分から仕掛けたことはないんだから。思い出すと段々腹が立ってきて、私はブラックに杖を向けた。リリーの制止の声が聞こえる。穏やかな談話室が今や私とブラックの決闘場と化していた。


「だめよ、名前!こんな奴ら放っておきなさい!」
「無理よ。このままじゃ私ずっとブラックのイジメの対象のままだもん」
「いや、俺別にイジメてるわけじゃないし。そもそもイタズラなわけで…」
「同じじゃない!」
「同じじゃねーよ!」


一体どこが違うっていうんだ。私にとったら迷惑以外の何者でもない。しばらくイジメだイタズラだと押し問答していると、今まで見守っていたリーマスが間に立った。


「退いてよ、リーマス」
「どけよ」
「まぁまぁ、落ち着きなよ二人とも。大体ここは談話室だ、決闘場じゃないんだよ」
「関係ねーよ、んな危険な魔法じゃないから大丈夫だ」
「私は安全という保証はないけどね」
「そんなこと聞いてないから」


にこりと微笑んだリーマスに一瞬般若が見えた気がした。リーマスを怒らせるのは危険すぎる。


「シリウスもさ、いい加減にしなよ。好きな子をイジメたくなるのは分かるけど、名前には逆効果だよ」
「なっ、何言ってんだよリーマス!」
「本当のことじゃないか」
「ちょ、それどういう意味…?」


ブラックは私が好きでイジメてたってこと?そんなわけない、とブラックを見れば彼は顔を真っ赤にして口元を手で隠していた。思いがけない展開に頭がついていかず杖を落としてしまった。


「マジで…?」
「〜っ!そうだよ、俺は名前が好きだ!一年の時からな!」


一瞬、談話室がシーンとなり気まずい雰囲気が流れた。何もこんな大勢の人たちの前でカミングアウトしなくても!私は、恥ずかしいやら戸惑いやらでただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。すぐに冷やかしやらで賑やかになった談話室は、クディッチの後の祝杯くらいやかましくなる。


「俺、部屋戻る!」


ついに耐えきれなくなったブラックは、走って男子寮に消えた。このままでは私がみんなの冷やかしを受ける!はっとして私も女子寮の階段を駆け上がった。


今更、
(そんなこと言われても)(困るんですけど)(…でも、ちょっと嬉しかった)


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