※今更 続編


「そんなに落ち込むなよ、親友」
「無理だ、ジェームズ。俺、死ぬかも」


先日、リーマスの思いがけない告発により、公衆の面前でシリウスは名前に気持ちがバレてしまった。こんなことでもなきゃ一生片想いのままだったろうし、僕としてはこれで良かったと思うね。だって、シリウスってば意外とシャイで一途なんだもん。更に精神年齢は割と低くて、好きな子ほどイジメたくなるという言葉は彼のためにあるようなものさ。ただ、シリウスの場合イタズラの頻度が多すぎる。名前と顔を合わす度に何かを仕掛けるもんだから、最早イジメだ。僕がスニベルスに仕掛けるのとどっちが多いかな?とまぁ、そんなわけで名前には割と…いや、相当敵視されている。叶う可能性は低いと見た。


「大げさだよ、君。名前に振られたくらで」
「ぐらいじゃねーよ!しかもまだ振られてないし」
「そうなの?名前がシリウスを避けてるみたいだから、てっきり振られたものだと思った」
「ムーニー、パッドフットが泣いてしまうよ。そのくらいにしてあげて」


今にも泣き出しそうなシリウスが何だか可哀想だ。いつもの君はどこへいったんだい?こんな君を見たらファンの子たちがガッカリするよ。相棒の肩を叩いてそう言うと、少し元気が出たみたいだった。ああ、シリウスってば単純で扱いやすい…って、いい意味でね。


「名前はきっと戸惑っているんだ。だって君、今まで名前にどう接してた?」
「まるで目の敵にしてたよね。スニベルスにイタズラするみたいに」
「…そんな風に見えてたの?」


また落ち込んだ親友は枕をギュッと抱きしめた。やめなよ、女の子みたい。なんて思ったけど口には出さない。だってほら、シリウスって単純だし。


「枕抱きしめるとか女の子みたいだよ、シリウス」
「おっ…?!」
「ムーニー、ちょっとだけ喋るの禁止でいいかい」


リーマスがいるとどうもやりにくいな。彼ってばシリウスの弱点ばっかりつくんだもん。いい加減やめてあげて!シリウスのガラスのハートが粉々だ。


「まぁ、とにかく君みたいに顔が抜群にいい男に好かれて名前だって嫌な気はしないよ。成績だって僕の次にいいし」
「そうなのかな…俺、名前に嫌われてはないよな?ジェームズと違って」
「…君、恩を仇で返しやがったな」


リリーは決して僕が嫌いなわけじゃないさ。恥ずかしいから手が出てしまうだけであって、僕を拒否してるわけじゃないよ。そうさ、まだ僕に心を開ききっていないだけなのさ。ああ、何ていじらしいんだ僕のリリー!


「ありがとう、ジェームズ!俺、何か自信沸いてきた!新しいイタズラ考えたから名前で試してくる」
「わお、君って実はバカなんじゃないかい?そんなことしたら一生口聞いてもらえなくなるよ」


ただでさえ、避けられてるのに。僕の言葉も聞かずにシリウスは部屋を飛び出していった。僕、彼の頭を疑うよ。いくら僕だって最高に機嫌の悪いリリーにラブコールはしないよ。あ、ちょっとはするけど。要するに火に油を注ぐようなことはしないってことさ。


「ジェームズ、シリウスって最高に面白いよね。ていうかバカなのかな」
「僕もそう思う」


笑いながら言うリーマスに苦笑いで答える。彼は間違いなくバカだ。しばらくリーマスとシリウスのバカさを語りあっていると、談話室から名前の悲鳴が聞こえた。ああ、今度は何をしでかしたんだい?我が親友よ。心配になって談話室に駆け下りると、談話室には人だかりが出来ていて名前とシリウスの声が談話室に響いていた。
「何するのよ、バカブラック!」
「お前こそ何するんだ、バカ名前!」
「あんたが妙な魔法使うからでしょう!」
「だからってこんな仕返しはなしだろう!前が見えない!」


人をかき分けて二人の姿を見たとたん僕は盛大に吹き出してしまった。名前の髪は巨大なアフロになっていて、重さで頭がぐらぐらしているし、シリウスはいつものサラサラの髪が何倍もの長さになり顔や手に絡みついている。心配して損したよ、全く。それにしても、二人の髪型ってとってもユーモアだよ。あのリリーでさえ、怒ることを忘れて笑いを堪えてる。うーん、このイタズラをスニベルスにも使えないかな…なんて考えていると、リリーに睨まれた。リリーってば鋭い。


「いきなり何なの!?意味が分からないんだけど!」
「だって名前、俺のこと避けてもがっ…避けてるし、」
「そ、そんなことないわよ」


ゆらゆら揺れている名前の頭と伸び続けるシリウスの髪は周囲の笑いを誘っている。うん、確かに面白いよ君達。


「俺さ、名前のこと好きゃぐ…、」
「何?」
「名前のこと好きだから、避けられると悲しぐえ」
「ぶはーっ、ダメだ君達面白すぎる!」


ひたすらぐらぐら揺れている名前と自分の髪に締め付けられて肝心なところで噛むシリウス。当の二人は真剣なのがまた凄くいいよね!リーマスなんて笑い死にできるんじゃないかなってくらい笑い転げてるよ。


「何事ですか!まぁ、あなたたち、その頭は…?!」


僕たちの騒ぎを聞きつけたのか寮監督のマクゴナガルが談話室にやってきた。一瞬笑い出しそうな顔になったのを僕は見逃さなかったぞ!


「またあなた達ですか!一体何をしていたらそんな頭になるのですか!」
「すみません、先生。ブラックが悪いんです」
「ブラック?…この生徒はブラックなのですか?」


巨大なアフロの隣に突っ立っているシリウスは髪で顔が隠れて最早誰だか分からなかった。ハグリッドより凄いよ、シリウス。毛だるまのシリウスをジロジロ見たマクゴナガルがため息をついて二人に医務室にいくように命じた。マダムはどんな顔するかな?


「まずはそのおかしな髪型を治してもらいなさい。話はそれから聞きます。罰則もその時に言いますから、ちゃんと私の部屋までくるように。いいですね?」
「「…はい」」


マクゴナガルの厳しい口調に反論出来ず、二人は先生に続いて医務室へ向かった。シリウスは前が見えないせいで、転ぶし頭をぶつけるしでよろよろしていた。名前は巨大アフロが談話室の穴に詰まって、大爆笑を巻き起こした。いやー、実に面白いものを見せてもらったよ。ありがとう、シリウス。名前には完璧に嫌われただろうけどね。


不可能にも似た
(やあ、パッドフット!もうあの髪型はしないのかい?)(うるせー、俺はもう死んだほうが幸せなんだ)(本当に大げさだよね、シリウス。だから名前に嫌…)(やめてー!ムーニーやめて!シリウスが本当に死んでしまうよ!)
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