私の中で男が好きになる女というのは、顔がいいか顔がそこそこでも底無しに明るいか、だとふんでいる。
だってそうでしょう?
私が男だったら一緒に歩いてても自慢できる人を好きになるもん。
間違っても私みたいに取り柄のないひねくれた奴なんか選ばない。
ということは、今目の前に立っている無駄にカッコいいクラスメイトはきっと私をからかっているんだろう。
そうじゃなきゃ、私なんかを好きになるわけないもの。
「名前…?」
「え、あ…の、」
「悪ィ、困らせて」
ああ、でも優しい土方くんだから騙したりとかからかったりとかしないんじゃないかと思ってしまうのは当然で。
少し期待してしまう自分が恥ずかしい。
なんと言えばいいのかわからなくて俯いてみたものの気まずい空気が流れた。
ウソなんでしょ?
ホントは罰ゲームかなんかで、仕方なくだよね?
ていうか、そうじゃなきゃほとんど話したこともない私を好きになるわけないもん。
何て言えるわけがない。
恐る恐る、どうして?と呟けば土方くんはちょっと赤くなった。
「名前ってよく笑ってるだろ?なんか、…かっ可愛いなぁって思ったんだよ」
「え、」
「んで、いつの間にか好きになってた」
そんな少女漫画みたいなこと、あるわけない。
私の狭い視野じゃこの人の常識は計り知れなかったらしく、とっさに発してしまった嘘だという言葉に本気だと返された。
完全に経験値が足りない私は、いつものようにひねくれることも忘れてしまっていて。
ただ単純にドキドキした。
「返事は急がねーから」
「…わかった」
「じゃあな、名前」
そう言ってでていった彼の背中を見つめる。
どうしよう、こういう場合は一体どうすればいいのさ。
こんなことならもっと少女漫画でも読んでおけばよかった。
とにかく、帰ったら妹に漫画借りよう。
覆された恋愛定義
(えーと、放課後呼び出して…)(どぅぇえ!?キス!?)(えっ、マジ?いきなりキス?)
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