小屋
好き勝手に書き散らす自由帳
(←戻る)2023/04/09 22:29
ワンピ
ちまちま書き進めようと思ってたけどとりあえず出しちまえ!となったので出会い方と設定の殴り書きと書き直した短編
シリーズ名は52Hzの鯨
***
旗揚げしたばかりのハートの海賊団が最初に目指したのは近海の中でそこそこ大きな島。
まず最初から無茶な遠出はしない(ベポの航海士として初めての仕事だし)だろうということと、整備士を仲間にしたいという理由。
ベポは航海士だし、シャチは手先器用だけど修理系じゃないと思うし、一番手広く博識なのはローさんだけどただでさえ船長だし医者なのに船のことまで考えてられないだろう。
***
「整備士が欲しい」
「「「整備士?」」」
大切な『友人』から譲り受けたこのポーラータング号はちょっとやそっとじゃ傷もつかない優れものだが、海を進む上で船の整備は一二を争う優先事項だ。
基本的に博識なローや手先が器用なシャチがいるものの、はちゃめちゃな発明家が丹精込めて作り上げた潜水艦を隅から隅まで理解出来るかと言われれば些か難しいところもある。
正しい航路で仲間を導く航海士と健康を維持し命を救う医者は既にいる。となれば次は船を守る整備士だろう、というのがローの言い分だった。
「別に誰彼構わず今すぐ引き入れようってワケじゃ無ェ。だが必要なモンは必要だ、いつか仲間にしようってんじゃなく必要事項と認識して優先的に動くべきだ」
「確かにな。せっかくならイカした奴仲間にしようぜ!」
「マッサージ出来たり」
「子守歌歌ってくれたり」
「どんなイメージ抱いてんだ」
***
島に着くと、幸いにも雰囲気悪くなく活気もあり、船の整備も受け付けてもらえた。整備といっても不備があるわけはなく、点検ついでに様子見といったところ。
小さな造船所で、従業員も少なめ。造船所というより点検とか整備とか、あと町の修理屋みたいなこともやっている。造船所という呼び方はおかしいかもしれない、適した店名(?)を後で調べる。
受付を済ませ潜水艦は初めてだと説明書も求められるままに渡すと、男が首から下げたホイッスルを吹く。数秒後隣の帆船から人影が降りてきた。身のこなしが軽やかで、どこまでも白い人影。
白い髪、白い肌。海を埋め込んだような瞳が印象的。左の目元に古い傷跡。
「お待たせしました。御用を申し付けください」愛想よくしかし機械的な喋り方が気になる。男は気にせず白い少女に色々と言いつける。「承知いたしました」機械的に答えてローたちにもにこっと笑って頭を下げると書類を読み込み男に返す。
「お客様の船を担当させていただきます、ベルーガと申します」丁寧な挨拶から、どこまで船に入っていいか、立ち合いはつけるか、等の確認をして船の中はローさん、船周り(海の中)はペンギンとシャチがついていく。
点検結果問題なし。男の他にも従業員(全員男)が2人、皆がホイッスルで少女を呼びつけては小間使いのように仕事をさせていること、態度が随分と少女を軽く扱っていることに4人とも気付く。
この造船所で一番技術があるのは少女だとローは見抜く。大人にいいように使われていることにペンギンとシャチも思うところがある。
この少女ならいいのではないかと一致。ベポ「おれのこと怖がらないでくれた!」
夜、ローは浜辺で少女を見つける。びしょ濡れで、魚を数匹火にかけながら、岩に腰かけて足をぷらぷらさせながら小さな声で歌っていた少女はローに気付くと慌てたように地面におりてにこっと挨拶。
あそこに勤めて長いのか、目元の傷はどうしたのか、質問に全て礼儀正しく愛想よく答える。
一緒に来ないか。にピタッと動き止める。
お前が欲しいで初めて笑顔が崩れる。戸惑った表情になる。
おれたちは自由を求めて海に出た。お前にも自由をくれてやるよ
「っ本当…!?」とボロボロ泣き出すベルーガ。まぁ断られたところでおれ達は海賊だ、欲しいものは奪っていくだけだがな。に何度も頷きながら、島に未練も何もないのでそのまま船に乗る。
最初は言葉がたどたどしい。礼儀正しい敬語以外は慣れておらず、しかし全員に呼び捨てため口に慣れろと言われたし本人もそうしたいため練習。
ペンギンシャチベポはおれたちも練習しようぜ、いつまでもローさん呼びじゃぁな。キャプテンって呼ぼう!になる。
好きにしろ。ベルーガが私もキャプテンと呼ぼうかと思ったらお前はまず対等な喋り方に慣れろとなってロー呼び。
出会い編はこれで終わり。
ベルーガ
20→22 ベポと同い年 164cm、ワンピの世界で平均的な女性の体形 シロイルカ(ベルーガ)
祖父が魚人のクォーター。母が半魚人だが、母は全く魚人の血が出なかった。祖母は魚人の子を身籠ったことを周囲に隠し、産まれた母も見た目完全に人間だったことから事実を隠した。ハーフの母は何も知らず結婚してベルーガを産み、瞳以外髪も肌もなにもかも白いベルーガが生まれたがそれ以外は人間で病院でも健康と言われたため、気付かず育てる。ベルーガが4歳のときにずっと水に潜っていられることが発覚しまず父親に気持ち悪いと母子ともに捨てられる。母は錯乱しつつも可愛い我が子という思いはまだあり、祖母に事情を聞きに行く。ここで魚人の血のことが発覚し、お前が魚人の血を発現しなければと祖母、母両方から責められる。このとき母から灰皿で殴られ左の目元に傷跡がある。これが一番古い記憶。
造船所という名の何でも屋修理屋みたいなところでタダ働き同然で置いてもらい今にいたる。祖母、母に怒鳴られ殴られ捨てられた記憶と造船所の男たちに雑に扱われてきた経験しかないため自己肯定力が底辺。4歳までは愛されていた事実と周囲を観察する頭があったため一般常識は分かっている。男たちを不快にさせないよう礼儀を叩きこまれたため機械のような受け答えをするようになった。
現在はハートの海賊団の整備士。旗揚げ組4人の愛情によりすくすくと健全に成長した。左の目元にハートの刺青。デザインあとで考える。魚人のように水中を自由に泳げる、怪力は受け継いでいない。戦闘は基本ステゴロ。ベポとよく組手をしている。たまにパイレンを使って銃弾を弾いたり剣を受け止めたりする。
クルー全員呼び捨て、ローは結局ローのまま。ペンギンシャチベポからは妹分扱い。ベルーガもたまにこの3人のことは先輩呼びする。歌うことが好き。
・ペンギンシャチのローさんへの口調が敬語になってた印象あったけど本当に敬語になってるか持てないので調べる
・魚人って怪力以外に何かあったっけ?これも調べる いつでも潮水吹けると強いけどさすがに無いか?タコは墨吐けてたイメージあるけど
というところまで考えて書き直した過去の短編
***
「ベルーガ! 悪い、自分で直そうと思ったんだけど……」
「うん、努力は認める」
「甘やかさなくていいぞ」
「人の領分で勝手して迷惑かけるのはちょっとどうかと思う」
「チクショウ正論!!」
天気は良好、航路は順調。
穏やかな波の上、日光を存分に浴びているポーラータング号の甲板の一角で、やんややんやと戯れているのはベルーガ、ペンギン、シャチの3人組だった。
暇なクルーが野次馬精神で顔を出しては去っていく中、小型の金庫を前に座り込んでシューシューかちゃかちゃと弄り回すベルーガを腕組みして見下ろす男2人は側から見れば柄悪く絡んでいるようにしか見えないが、彼女に降り注ぐ日光を遮るように立ち位置を調節しているようだ。
天気の変わりやすいここグランドラインで、潜水することも多いハートの海賊団にとって貴重な太陽光ではあるが、今は中々に日差しが強い。
「確かにこれは大変優秀な潤滑剤だけどね、少ーしだけ残る油分が埃とか吸着しちゃうんだよ。だから鍵穴には使っちゃいけないの」
「ヘェー。ベルーガよくこれ使ってるだろ、前もエンジン部品にかけてたし。だから大丈夫だと思って」
「人の仕事をよく観察してる好奇心とやってみようという向上心は素晴らしいよ、ただ確認する意識が足りないから身に付けようね。この失敗を次に活かしていこ」
「あざっす! 気を付けまっす!」
「今度は何の影響受けたんだ?」
「上司の心得初級編〜部下の失敗を成長に繋げるための叱り方〜」
「お前そういうのどこで見つけんの?」
「本屋さんのまとめ売りワゴン」
軽口を叩きながらも迷いのない手付きで作業を続けるベルーガの腕の中で、最初は刺さったままうんともすんとも動かなかった鍵が少しずつしかし確実に回るようになっていく。
やがてカチャリ、という小さな音と共に閉ざされていた扉が開き、見守っていたシャチが両手を上げて喜んだ。何を隠そう金庫の鍵を回らなくした犯人だ。隣のペンギンがうるさそうに耳を塞いでいる。
「ヨッシャ助かったベルーガ! さすがイケメン! 女の中の女!」
「ふふん。シャチ特製の冷たいドリンクが飲みたいなぁ、すっごい美味しいやつ」
「喜んでェ!」
「犬かアイツは」
「船長」
甲板の日陰でベポに凭れながら読書に勤しんでいた筈のローの登場に、鍵の動きを確かめていたベルーガは顔を上げた。ずっと手元を見ていた目に空の眩しさが刺さって思わずぎゅっと瞑る。
今更うるさいなどと文句を言いに来たわけでもないだろう。ハートのクルーが騒がしいのは年がら年中だ。
もしや金庫に用があるのかと差し出してみれば違うと言うように持っていた本で軽く頭を叩かれた。いて、と大して痛くもないが声が出る。
「自信作なのに」
「自信作じゃねェ方が珍しいだろうが。マストの点検早められるか」
「うん? じゃぁ今からやるよ」
「頼む。明後日着く島が年中荒れた天気らしい」
「アイアイ。じゃぁシャチに飲み物てっぺんまで持ってきてって言っといて!」
手を出してくれたペンギンに金庫を託し、屈伸して肩を回してと軽く準備運動をするとベルーガはするするメインマストを登って行った。相変わらず猿みたいだな、なんて呟きが聞こえたが褒め言葉だろう。
物を直すのが好きだ。細かくて繊細な調整も、力任せな作業も。それと同じくらい、大きな船を登るのもベルーガは好きだった。
どんどんと遠くなる甲板、ただただ広い空とどこまで続く海が視界いっぱいに広がって、全身を気持ちのいい風が吹き抜けていく。見張り台よりも更に上、メインマストのてっぺんは絶景を独り占めできる特等席だ。
ひとつ深呼吸をして、さて仕事だと意識を切り替えようとした時、ふと視界の端に違和感を覚えてベルーガは海の向こうを見つめ目を細めた。
太陽の光を反射してきらきら光る水面がどこまでも続く、その中で。徐々に大きくなる1つの影。恐らく直に見張り台からも見えるようになるだろうそれは。
「ロー! 2時の方角に海賊船!」
「ベポ、ペンギン!」
「「アイアイ!」」
即座に船長の意を汲んで走り出す2人の姿を上から目で追う。
あの2人ならすぐ全船員に指示を出し終えるだろう。向こうの船が近付く前に準備を整えるだけの時間は充分にある。
ベルーガも持ち場につくべく飛び下りようとしたが、なんとなくイヤな感じがしてもう一度敵戦の方を見た。そうしたら。
砲弾、とはまた違う何か。もう少し小さくて、でも堅そうで、そもそも砲弾ならこの距離を届く筈がないし弾道もおかしい。そんなものがこちらへ真っ直ぐ飛んでくる。
恐らくは何かの能力であろうそれがポーラータング号へ、もう少し言うならばベルーガへと、真っ直ぐ。
「こ、っの!!」
咄嗟に腰元の工具セットからパイレンを取り出した。修理時に留まらず時には戦闘でも頼りになる逸品だ。それを黒い物体目掛けて振りかぶる。
ガギン、と鈍い音と共にかなりの重さが腕に伝わる。整備士舐めんな、と歯を食い縛ること数秒、全体重を右腕に乗せて根性で跳ね返した。
それは驚くほど呆気なく海へ落ちていく。ぷらぷら手を振りながら何だったんだろうかと首を傾げると同時、ヴン、と慣れた感覚に包まれたかと思えばベルーガの身体は甲板にあった。
丁度甲板に出てきたシャチが頭上から落ちてきた樽の餌食になっているのは見なかったことにする。
「ロー?」
「怪我は」
「船もあたしも問題無いよ」
何かあったら怒るでしょと言えば、おれのものを傷つけられてへらへらしてる筈ないだろうなんて。仏頂面のまま当たり前に返ってくる言葉にベルーガの頬がそれは嬉しそうに緩む。
「シャチ、潜るぞ。伝えてこい」
「お、全力応戦スか」
「売られた喧嘩は買わないとな」
「あたし先に潜っていい?」
「あァ」
ツナギを脱ぎ捨ててタンクトップにショートパンツと軽装になったベルーガが嬉々として海に飛び込む。魚人の血が混ざる彼女にとって海の中はテリトリーだ。
あーあーはしゃいじゃって、と言いながらきちんとツナギを回収している辺りなんだかんだ面倒見のいいシャチが走っていくのを見送り、ローはちらりと海を見る。ベルーガの姿は既に無い。こちらが潜ればすぐに敵船の下まで辿り着いた彼女から音波が届くだろう。
「キャプテン! もう潜るよ、早く!」
「今行く」
ベポに急かされローも船内へと足を進めた。
さあ、全力応戦の開幕だ。
prev / next