小屋
好き勝手に書き散らす自由帳
(←戻る)2020/06/21 22:14
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毎日書くとかいって間あきまくりだしなんなら前回までを覚えてないんだけど書きたいときに書きたいところを書けばいいってばっちゃが言ってたので前回との繋がりなどない
一人の老婦人と笑顔で話すアニーをラギーは客を捌きながらも横目で観察していた。
大体において客との一線を頑なに守るアニーにしては珍しく砕けた笑い方だった。あれは愛想笑いなんかじゃなく彼女本心のものだ。穏やかな空気を纏う老婦人とアニーは祖母と孫娘にも見えて、どうにも微笑ましいようなむず痒いような気持ちになる。
人生で初めて自分によくしてくれた人なのだとアニーは言った。家を飛び出してこの街に辿り着いたとき、軒先を商売スペースとして提供してくれたり色々と世話を焼いてくれたのだという。
アニーの過去をラギーはざっくりとしか知らない。そりゃラギーとて好きな子のことならなんでも知りたいという男心はあるが、過ぎたことを詮索するのは気乗りしないし、なにより今を全力で生きる彼女のスタイルをラギーは気に入っていたから。
だから、アニーが老婦人のことを紹介してくれたときは、珍しいなと思うと同時に嬉しく思った。
「あらまぁ、アニーたらこんな男前いつの間に捕まえたのかしら」
「ラギーくんかっこいいでしょ?料理も出来るし、器用だし、物知りだし。いつも助けてくれるんだよ」
そしていつもより大げさな褒め言葉はなんとも照れ臭い。本人に言ってもきっと「ちょっとは誇張してるけど本心だよ」とか心に刺さるような刺さらないようなことを言うんだろう。
「お節介だとは分かってるんだけど、どうしても心配でね。あの子、中々人と仲良くならないでしょう」
「あー、まぁ。でもアニーちゃんしっかりしてるし、色んな人に好かれてるッスよ。最近はちょっとずつ仲いい人増えてきてるし」
「ふふ、貴方みたいな友人がいて安心したわ。今まで誰かを連れてきたことなんて無かったもの」
他の客に呼ばれそちらの接客に勤しむアニーを見守りながら微笑む老婦人は、私とも仲良くしてくれるかしら、なんて悪戯な表情を浮かべてみせる。
なんだか懐かしいような泣きたいような、決して不快ではない気持ちを無理矢理飲み込みながらラギーは勿論ッスよ!と顔いっぱいに笑い返した。
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