「くっ、にんじんマン…!」
「ここはぴーまんマンの…ねぇ誠二」
「んぁ?」
「ぴーまんマンを略すとなんと…ぴーマン」
「お前…天才か!」
「…お前らなにしてんの…」
「「三上先輩!!」」
食堂の隅でなにやらこそこそとしている2つの背中を見つけた三上は、げんなりと溜め息をついてそれはそれは心底面倒くさそうに口を開いた。
2つの背中とは言わずもがな我らが武蔵森サッカー部のエース様とマネージャーだ。2人揃えばわんわんきゃんきゃん、喧しいことこの上ない。
ならば関わらなければいいと誰もが言うだろうが、悲しきかな、悪気があろうと無かろうと懐いてくる後輩を心から無下にすることはできない、三上はそんな人間だ。
しかも夕飯の時間、ご丁寧に2人に自分の分の席まで用意されてしまっては逃げ場など無く。
「聞いてくださいよ三上先輩!やっぱりにんじんマンとぴーまんマンの戦力を分散するのはよくないと思うんです」
「だから誠二とあたしで2つの力を集結させようと…」
「つまるところ嫌いな食べ物押し付けあってるだけだろーが」
「「痛ったぁ!!」」
ベシ、と2つの後頭部を叩いて席につく。
片やニンジン嫌い、片やピーマン嫌い。いつも互いの嫌いな野菜を相方に食べてもらっている彼らは利害の一致だとかなんとか騒いでいるが。
「いい加減自分で食えるようになれよ、ガキか」
「…誠二、今夜あたしチョコケーキ作る。味見手伝って」
「とびっきり甘いやつな!」
三上の無言の圧力によってニンジンとピーマンの交換を一時的に諦めた2人が何やらイラッとくることをこそこそと話し始めたのを聞いて、ヒクリと米神をひきつらせた三上はとりあえず先程の3割増の力でもう一度叩いておいた。
20121022