背水を抱く


「俺は明日旅立つけど。どうすんだ、遊び相手さんよ」
「…俺も行く」
「なら早く準備しとけ」
こくり、と頷いた様子を確認してから歩みを進める。
最近、目に見えて相良の様子がおかしい事は実感していた。一体何に怯えているのか、理由は検討も付かないが。妙に減った口数も気掛かりなところではあるが、未だに幼少期に定められた"朔間零の遊び相手"の立ち位置を健気に守っているところは関心に値する。
施設から引き取られ、大人達の都合で勝手に決められた立ち位置だと言うのに。いっそ破ってしまわれる方が、こちらとして楽でもあるのかもしれないが。
「なぁ、相良」
「…何?」
お前はいつになったら、前みたいに笑うんだ?