スピカにおやすみ


「璃々やー!」
「パパー!」
風呂から上がってきた所、寝転がったりしながらベッドの上で戯れている寝巻き姿の零と璃々の姿が真っ先に目に飛び込んでくる。朔間一族の体質故に、夜に強いのは璃々にも受け継がれているようで、元気な事この上ない。まぁ、それはそれで元気なら全然良いのだが。何となく、戯れタイムを邪魔するのも悪いような気がして、近くにあったソファーに腰を下ろす。あまりに平和で幸せな時間は、傍らで見ているだけでも十分に満たされてしまう。
「ママ」
呼び声に顔を上げると、零に抱き締められたままの璃々が、ニコニコの笑みを浮かべ、相良に向かって手招きをする。そんな顔で呼ばれたのなら行かない訳にはいかない。立ち上がり、ベッドの元まで脚を運ぶ。伸ばされた小さな手が相良の服の裾を掴んだ。
ふぅ、と一息つく。そのまま璃々を挟むようにベッドへと身体を預け、寝転がる態勢を取る。璃々の頭上で視線があった零はさぞかし幸せそうな笑顔を浮かべていた。何か言ってやりたかったが、人の事は言えない表情になっているので、そのまま璃々を抱き締めようと手を伸ばした。