星で繋いだ追憶


「璃々、お主のお兄ちゃんとお姉ちゃんじゃよ」
いつの間にか父親としての顔を見せるようになっていた兄がそう告げる。彼女と背丈を合わせるよう、しゃがんだ兄の手に誘導されるかの様にして、小柄な少女が顔を覗かせた。生まれた時から知っている筈なのに、子供の成長の早さを感じる。
少女は大きな瞳をぱちくりと瞬かせた後、小走りでこちらにやってくる。それに合わせて、膝をつき目線を合わせる。隣にいる瑠璃も同じ様に彼女を待っていた。
「にーに、と、ねーね?」
小さく首を傾げた少女、璃々が自分達をそう呼ぶ。
「かっ、わい、い……」
その愛らしさに瑠璃はお見事に射抜かれてしまい、口元を押さえていた。代わりに璃々の頭に手を伸ばし、同じ漆黒の髪を優しく撫でる。
「そうだよ。よろしくね、璃々」
「うん!」
赤い瞳が閉じられ、満面の笑みが浮かぶ。
少女の細やかな一言。心のどこかで、兄として、家族として、救われたような、認められたような気がした。