夜息のメソッド


隣で心地よさそうな寝息をたてる整った顔立ち。首元へと流れる髪にそっと触れ、指先にくるりと巻きつける。こんな無防備な姿を零が晒すなど、世の人は思うのだろうか。番になってから何度か身体を重ねたが、頭も心も、溢れんばかりの愛で満たされた反動がじわりと心に染み渡る。
「本当、何で俺なんだろうね」
世界の何処かには、零に相応しい人がきっといる。それを分かっていても、彼の特別でいたい。相反する感情は一人になると脳裏を掻き乱す。こればかりはどうしようもないのだ。
「…好きだよ」
頬に軽く触れるだけの口付けを落とす。
それでも、この気持ちは嘘ではない。零を愛おしく想い、好きという感情を抱いてしまう事を許されたい。