「一緒に住まない?」薫ちゃんがそう言ってくれたのは、大学1年の冬頃3ヶ月前ほどの事だった。彼の部屋でそう告げられた時、私はびっくりしすぎて固まってしまい、そんな私を見た薫ちゃんは少しバツが悪そうな顔をしたのを今もハッキリと覚えている。しかし私が笑顔で頷けばそれはもう、周りに花が咲くほどに嬉しそうに笑うのだからホントに可愛いと思った。

薫ちゃんは凄く優しいと思う。薫ちゃんは実は双子で翔ちゃんと言うお兄ちゃんがいるのだか勿論、翔ちゃんも優しい。翔ちゃんは皆に優しい。皆に平等で困っている人がいたら誰にでも手を差し伸べてしまうそんな人間だと思う。しかし薫ちゃんは私にだけ凄く優しい。皆にも優しいが私への優しさと比べるとやはり違うと思う。自分で言うのも何なのだが実際に本当なのである。薫ちゃんは中学の時から私にやたらと優しかったと思う。周りの友達もそう言っていたので私の勘違いではなかったらしい。実際交際を始めてから薫ちゃんにその話をすると「その時から好きだったからね」と言われて私は始めて薫ちゃんがまさかの中学一年生の時から私の事が好きだった事を知った。ついでに言うと私は高校に入ってから薫ちゃんが好きになった。

そんなこんなで今年の4月私は薫ちゃんと同棲をする事になった。お互い違う大学に通っているのでお互いの大学のほぼ間の位置にある駅の近くのアパートに住むことになった。2LDKで程よく日当たりも良くて素敵な部屋を借りれたと思っている。午前中にリビングの荷解きをし、お昼を食べて午後はそれぞれの部屋の荷解きをしている。

「よいっ、しょこれで終わりかな?」

私は棚に本を入れ終わると自分の部屋を見渡した。割と片付いたのではないだろうか。窓から空を見ると少しオレンジがかっていた。荷解きを真剣にしすぎて時間を忘れてしまっていた。薫ちゃんはもう終わったのだろうか?私は様子を見るためにリビングへ行く事にした。

「薫ちゃん?」

私が部屋のドアを開けながらそう問うと、リビングのソファに腰掛けていた薫ちゃんが私の方に振り返る。

「秋依ちゃん!もう終わったの?」
「うん。なんとなく一段落はついたよ。」
「お疲れ様〜」

私はそのまま薫ちゃんの隣に腰を下ろす。すると薫ちゃんはグイッと私を抱き寄せた。

「か、薫ちゃん?」
「んー。」