象の牙に砂漠@xxxxxx・12時間

壁にかけてある剥製は、その昔叔父が買ってきたものだという。いや、貰ってきたもの、だったか。とにかくそれは、物心ついた時からその場所に鎮座していた。その場所は彼――いや、彼女かもしれないが、紛らわしいので彼と呼ぶことにする――の特等席で、誰にも取られない場所だった。もちろん、人間が壁に座ることなどできないから必然的なものだったが。それでも彼は満足らしかった。大きな中を、美しく繊細に彩られた彼は己が削られたことなど微塵も気にしていないようだった。その場所だけ、ただ彼だけを見つめていれば、まるで知らない彼の故郷が、自然と目の裏に浮かんでくるようなのだから。

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