爆豪くんの爆破したエネルギーを掌で吸収して、出来る限り体内に貯めていく。USJの一件で"吸収操作"の弱点が浮き彫りになってしまったから、仕方なく。
『ううっ、』
「もうギブかよ」
『も、うちょい、!』
「・・もう一発行くぞ」
『ッ、は・・!』
いくら吸収出来るからって、本気で撃つのはやめてほしい。そろそろ吸収のキャパが超えそうなぐらい、体の中で行き場のないエネルギーが渦巻いてるような感覚。このまま貯め続けたら死ぬ。揶揄じゃなく、本気で。
「俺の五割の力で15発が限界らしいな」
『も、しんどっ、だしていい?』
「アホかテメェ、限界超えるための特訓だろが」
『や、でも、』
「三割で撃つ、耐えろ」
『ううう、ばくごうくんのおにぃ・・』
確かにさっきよりは控えめになった爆破音。なんとか、ぎりぎり、どうにか吸収は出来た。でももう無理だ、さすがに吐きそう。
「あっち向かって撃て」
『ッ、うー・・!』
「纏めて撃つなよ、調整しろ」
『えええ』
「コントロールも重要だろが!20回に分けて撃て」
『にじゅっかい・・』
さっさとエネルギーを吐き出して楽になりたかったのに、まさかの二十分割。気が遠くなりそうだった。しかも適当な分割はきっと許してくれないよね、爆豪くん。出来る限り、貯めたエネルギーを均等に二十分割、かあ。わたしには100パーセント向いてない作業だ。
「・・あと十」
『ッは、ァ・・!!』
「あと五」
『きんとうに・・きんとう、ッ!』
「ラストだ」
『!・・うう、もうむり・・』
最後の放出を終えた途端に気が抜けて、足の力が一気に抜けた。ぺたりとその場に座り込んで、地面に手をついてなんとか息を整えようとしたけど上手くいかない。
「オイ、大丈夫か」
『ちょ、まって、ね』
「アホか、さすがに一旦休憩挟むわ。とりあえず体冷やさんように汗だけ拭いとけ」
『うっ、ありが、と』
バサっと頭に降ってきたタオルは微かに爆豪くんの匂いがしてほっとする。それにしても、肩で息をしなきゃいけないほどの疲労なんて久しぶり。しかも頭までフルで使ったから、若干目眩までする。たぶん、さっきの吸収とコントロールぐらいは難なく出来るようにならないと、とてもじゃないけどプロヒーローになんてなれない。なんならもっと吸収のキャパも上げないといけないし、コントロールの精度だって。課題だらけな自分の個性に、悔しさでちょっと泣きそう。
「いっちょ前に落ち込んでんのかお前」
『・・うん』
「素直に欠点認められンなら伸び代しかねェだろ」
『のびる、かな?』
「誰が特訓付き合ってやってると思ってんだ、伸ばすンだよボケ」
『・・うん、がんばる』
不思議なことに、爆豪くんの乱暴な物言いはとても温かい。自信過剰に見られがちだけど、ちゃんと実力も伴ってる。切島くんのフォローもあってなんとか特訓を付けてもらえている今の状況。多少無茶でも指示は的確だし、休憩だって入れてくれるし、何よりわたし自身ががんばろうって心から思える。
「目標ぐらい決めとけよ」
『もくひょう、』
「俺の全力を最低でも10発は貯めろ」
『むり』
「即答すんなやクソが」
『いや、いつかはそれぐらい貯めれたらなっておもうけど、』
「けどなんだよ」
『・・そんなたんきかんで、むりだよ』
「アホかお前」
『え』
いつものような自信満々の、どこか楽しそうな声。弾かれるように顔を上げたら、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた爆豪くんがいた。
「長期戦だっつったろアホ犬、逃げんなよ」
『・・ほんとに、いいの?』
「あ?」
『めんどくさいって、いってた』
「・・気が変わった」
『そっ、か、うん、がんばるね』
少しの間をおいて、バツが悪そうに顔を逸らしてしまった爆豪くん。ちょっとだけ頬が赤かったのは見なかったことにしておこう。つっこんだら絶対また叩かれる。
「さっさと続きやんぞ!」
『いっ!』
照れ隠しなのかなんなのか、結局叩かれてしまったけど気合いは入った。みょうじなまえ、死ぬ気で頑張ります!
20180921