ハッと目を開くと、そこは長い桟橋の手前だった。私は確かに騎士の攻撃によって命が朽ちたはず。ということは、きっとまた時間が巻き戻ったのだろう。何度体験してもこの感覚は慣れない。なんて不思議で恐ろしい現象なんだ。

ここでじっとしているわけにはいかない。このまままっすぐ桟橋の先へ行けば同じ轍を踏む結果となるだろう。今は騎士に接触することを避けて、渡し守がいた所まで引き返そう。騎士との戦闘を防ぐには、王との接触が有効だろう。彼らは王に仕える騎士だから、きっと王を説得できれば事はうまく運ぶ。これからは情報収集より城へ先に向かうことを考えた方が良さそうだ。

そう考えを整理して私は足早に踵を返し、渡し守のいる場所へと向かう。…それにしても、あの時足に巻き付いていた蔦。思い当たる者がいる。あれはきっとフラウィーによるものだろう。
フラウィーはどうやら私を殺すことに固執しているようだ。なぜかは分からない。しかし私一人だけが標的であるなら、それはとても幸いなことだ。


歩き続けること1時間。何の障害が立ちはだかることもなく、あっけなく渡し守の所までたどり着けた。

「トゥララ

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