どんな名前にしよう。
まいったな、これでは“一番”が二人になってしまう。
どんな毎日が待ってるんだろう。
子育ては大変だけど、きっと僕ら二人なら大丈夫。楽しい日々を過ごせるさ。
なんて、まるで素敵な旅行の計画を立てているかのようにワクワクするものだ。
日に日に大きくなる妻のお腹に手を添えれば、ぼこっと動く感触。今僕のことに気づいたのかな?なんてはしゃいだものさ。
そんな天からの恵みと顔を合わせた時、みんなは一体どんな感情を抱くのか。
多くの人の答えは、きっと“感動”するんだろう。生命の神秘に触れて、目に涙を浮かべながら懸命に育てることを誓うだろう。
でも、僕が言ったのはあくまで“多くの人なら”って話。悲しいことに、そうはいかない事もあるし、僕達がまさにそうだったのさ。
初めて生まれた子供を見た時、僕は『恐怖』したんだから。
ナナーシは頭を抱えた。
「あなた達しか頼れないの、どうかお願いします」
目の前で頭を下げるのは17歳の女子高生という。成人にも満たない彼女がギャングの一員であるナナーシに助けを求めていた。