冬になったので、こたつを出した。
家族用のこたつだから、それなりに大きくて、何より暖かい。布団ではなくこたつで眠ってしまうのは、冬ならではだろう。
まあ、マユリが布団まで運んでくれるから、風邪を引くことはないんだけど。
「ミカンうまー」
皮をむきながら、雑誌を読む。
向かいではマユリが専門書を眺めていた。
「マユリも食べる?ミカン」
「……………」
「無視ですか?」
「ん? なんだネ」
「ミカン。」
一粒見せると、マユリは本に視線を落として「いらん」と答えた。
せっかくこたつに入っているのに、ミカンを食べないとは……。休日の過ごし方がなっていないんじゃないか。
「げッ、また雪ふってるよ……」
雪かき面倒だなぁ。寒いし。
「ねえ」
「断る。君がやりたまえ」
まだ何も言ってないんだけど……。
「雪かき今度はマユリがやってよ」
「私は忙しい。」
「わたしだって忙しいよ」
「お前はくだらん雑誌を読んでいるだけだろう」
「瀞霊廷通信をくだらないって…。あんたの愛読書でしょ」
「…………」
都合悪くなるとすぐに無視だよ。
こんな人と結婚していいのかなー、わたし。
それを決めるための同棲生活なんだよね。
うーん……。
「なんだネ。その目は」
「マユリと結婚していいのかなー、の目」
「……ハァ」
分かりやすく大きなため息を吐かれた。
「やればいいんだろう、やれば……」
「おお、やった!ありがとう!」
「まったく、どうして私が雪かきなど……」
ブツブツいいながらも、引き受けてくれるマユリ。うん、この人と結婚しよう。
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