お見合い狂想曲〜Cafe Parade編〜



久しぶりの、アイドルではなく、カフェとしてのCafe Parade営業日。
その忙しくも充実したカフェ営業を終え、息をついた時の5人の話――

「そういえばね!プロデューサーがお見合いするんだって!」

お互いの働きを労い、アスランが作った夕食を食べ、神谷の淹れた紅茶と東雲お手製のケーキを楽しんでいた最中、咲がそう切り出した。

「へえ、お見合いかあ…プロデューサーさんが結婚するなら、ウェディングケーキはぜひ!全部食べられるものにしてもらいたいですね…!せっかくだから、Cafe Paradeのみんなで作りたいです!5段…ううん、もっと高くてもいいですよね!」

話を一気に飛躍させ、特大ケーキを想像して、瞳を輝かせて息巻く巻緒。
一方、同じように咲がうっとりと思い描いたのは、花嫁衣裳だった。

「プロデューサーに似合うウェディングドレスって、どんなのかな〜…和装もいいけど、やっぱりお姫様みたいなふわふわの、カワイイドレスを着て欲しいなーっ!カラードレスも着て欲しいし!」
「プロデューサーさんに似合う色は、何色だろうね」
「んー…どうせなら、パピッと派手なドレスを着てほしいな!なんて言ったって、結婚式の主役は花嫁さんだもんっ☆」

そんな風に、高校生2人がまだ相手が決まってすらいないプロデューサーの結婚式の想像を膨らませる中、成人3人は複雑な思いを抱えていた。

「主がお見合い…ではなく、魂の片割れを求めているだと…!」

そう言って、わなわなと身を震わせるアスラン。
「プロデューサーさんも、そんな年頃なんだね」と言う神谷に、東雲は「私たちも似た様なものでしょう」と苦笑した。

「…そういえば神谷。高校の時の鈴木さんと田中さん、結婚されるそうですね」
「ああ、うちにも連絡が来たよ。でも、その日はライブだったよな」
「ええ。なので、連名でお祝いを送りませんか」
「そうだな」

では何にするかを考えないと…と返したところで、ふう、と東雲は息をついた。

「おめでたいことではありますけど…ついに、私たちも同級生から、結婚の連絡が来るようになったんですね」
「はは、そうだな」

結婚なんて縁遠いものだと思っていたのに、プロデューサーがお見合いをするらしいことや、身近にいた同い年の人間が結婚をする、という事実は、少なからず2人に衝撃を与えた。

「プロデューサーさんも、結婚してしまうんやろか…」

ぽつりと東雲がもらした言葉に、少し間を置いて神谷は返した。

「…たとえプロデューサーさんが結婚しても、俺たちの関係は変わらないさ」
「…ほんまにそう思うん?」
「……少なくとも、俺は…そういうことにしておくよ」

そんなやりとりをしている間に、気付けばアスランは高校生組2人に巻き込まれていた。
そして、とっておきの料理のコースまで考えられていて、妄想結婚式は形が出来上がりつつあり、神谷と東雲は笑い合った。


後日。
プロデューサーのお見合いはなくなったと聞くと、ある者は少し残念がり、ある者はひそかに胸を撫で下ろしたのだった――




Main TOPへ

サイトTOPへ